まだ“あの頃のイメージ”のまま? 最後はこんなのに乗れたら…… と妄想させる2台のキャデラック
コンセプトカーゆえ詳細な数値は一切不明。しかしソレイのエッセンスをたっぷりと受け継いだ市販車が、将来登場することを期待せずにはいられないほど、往年のキャデラック好きにとっても魅惑的なBEVだ。
贅沢と疾走感を両立させるスポーツカー
一方、8月に入ってから発表されたコンセプトカー「オピュレント・ヴェロシティ」は、“ラグジュアリー・パフォーマンスの究極の表現”だという。 車名のオピュレント(Opulent)は「贅沢」を、ヴェロシティ(Velocity)は「疾走感」を意味するとのこと。 まず“オピュレント”でいえば、完璧な自動運転による乗員の自由がある。ハンズフリーによってドライバーも含め(完全自動運転だからドライバーという観念も不要!?)ドライブ中は独自の“オアシス”に没入できる。
具体的には、フルワイドスクリーンとAR(拡張現実)ヘッドアップディスプレイによって、各種エンターテイメントやアート、アンビエントライトによる癒し空間、さらに心身の健康を促すプランまで多種多様なプログラムが用意されている。
そのためにキャデラックは、科学的なベータ波の研究を参考にして、特定の音や光が脳をどのように活性化させ、また安らぎをもたらすのかを探求している。 もう一方の“ヴェロシティ”では、ハイパフォーマンスカーならではの最大限のスリルを提供してくれるという。
キャデラックのラグジュアリーセダンにはレース参戦モデル直系の技術を備えた「Vシリーズ」があるが(現在日本には未導入)、このVシリーズのBEV版が、このコンセプトカーだ。
自分で運転しないのに、どうやって“疾走感”を体感できるのかといえば、スイッチをひとつ押すだけでいい。すると“ヴェロシティ・モード”に切り替わり、フロアからペダルがせり上がり、インストゥルメントパネルからステアリングが現れて、ドライバーに握るよう促す。
さらにキャデラックが持つ豊富なレース参戦情報から、ヘッドアップディスプレイにサーキットの攻略法を表示。ドライバーがラップタイムを向上させたり、特定のいくつかのサーキットでは仲間と競いあったりできる。 ◇ この2台はコンセプトカーゆえ、本当に登場するかは定かではない。けれど、オーシャンズ世代が免許を返納するかどうかくらいの時期には、この意思を受け継ぐモデルが登場してもおかしくはない。 終の住処ならぬ終の車として、ソレイでエレガントな毎日を楽しむのも一興。あるいは人生終盤に世界のサーキットを駆けめぐり、免許を返納した後は自動運転で自分のオアシスに没頭できる「オピュレント・ヴェロシティ」も悪くない。 そのためには、まず先立つ物を貯めないと。人生最後の一台はどんな車に乗りたいかを考えつつ、明日からまた頑張らなくちゃね。 籠島康弘=文
OCEANS編集部