「9月の悪夢」で優勝どころかCS進出も逃した新井カープ、経営視点で見る"根本原因”とは? 「急場しのぎ」の組織運営は遅かれ早かれ瓦解!
例として横山氏はある広告代理店のケースを挙げる。40年以上の歴史があるこの会社では、数年前に売り上げが減少。社長の出す号令の下で、既存顧客への営業活動を強化したという。 「注文がとれるまでは戻ってこなくていい」と言うほどの鞭の入れようだったが、結果は「大失敗」。顧客から「まるでわかっていない」「二度と来ないでほしい」と言われるような事態に陥ったという。 横山氏によると、この会社は業績が好調な時代にあぐらをかき、顧客や業界研究を怠っていた。そのため、顧客ニーズへ対応できなくなり売り上げが減少したわけだが、その理由もわからず急場しのぎの対応をしたことで、輪をかけて危機を呼び込んでしまったというわけだ。
根性論には限界がある。経営層に大事なのは、未来を見据えて、然るべきタイミングで然るべき投資を行うこと……ビジネスにも、プロ野球球団の運営にも言えることではないだろうか。現場がいくら奮闘しても、気力・体力が尽きると、一気に勢いを失ってしまうのだ。 ■助っ人脱落に中心選手も大不振、打線を固定できず… 思えば今年のカープは、打線の中軸として期待した外国人助っ人の2選手が開幕カードで負傷、脱落。そのうちジェイク・シャイナーは夏場に1軍へ昇格してホームランも放つなど見せ場は作ったものの、一方のマット・レイノルズは出場試合がわずか2、無安打のまま6月に契約解除となった。
2023年に2ケタのホームランを放ち、チーム待望の和製大砲と期待がかかった末包昇大も、春季キャンプ前の自主トレで負傷して出遅れ。5月に1軍へ合流して活躍したが、再び負傷で戦線を離脱することに。同じく打撃の評価が高い坂倉将吾も開幕からオールスターゲームまで極度の不振に陥っていた。 打撃の中軸を欠いたカープは打線を固定できないまま、言ってしまえばその場しのぎの総力戦を続け、9月には慢性的に悩んでいた得点力不足がさらに悪化。これまで踏ん張っていた投手陣のガス欠と合わせて、未曾有の大転落へと至ってしまった。