<国民の70%が核保有を支持>それでも韓国が核開発へ進まないいくつもの理由
政権担当者は、NPTから脱退する外交的な孤立、貿易への打撃、電力供給への影響、原子力産業への影響等、この記事が触れているすべての要素を勘案しなければならない。そのハードルは極めて高い。 韓国がこれから核開発を行おうとすれば、民主主義的手続きの中で行っていくことになろうが、世間にオープンにしつつ核開発を行うことは難事である。インド、イスラエル、パキスタン、北朝鮮、南アフリカ等の国は、いずれも秘密裏に核開発を進めた。世間にオープンにして核開発を行えば、外交上の圧力をもろに受けることになり、敵対関係にある国には先制攻撃の口実を与えることにもなる。
技術的な難しさ
この解説記事で伝えられている「一年で最初の核兵器が製造できる」との見通しは、現在、韓国において大規模な秘密裏の原子力活動がなされていない限り、現実的とは思われない。韓国にとって、核開発をしようとする際の最大の課題は、核爆発装置に不可欠な核分裂性物質(高濃縮ウランないしプルトニム)を持っていないことである。 核開発を試みた国はいずれも核分裂性物資の製造で苦労してきた。それこそが核開発の肝である。インド、イスラエル、パキスタン、北朝鮮は、それに成功した事例であるが、ウラン濃縮と再処理という機微技術への管理が甘かった時代に核開発をスタートさせたか、長年の試行錯誤の上に実現したかのいずれかである。 以上を考えると、韓国が核保有に向かうというシナリオは、当面の見通しとしては、可能性は高くないと思える。
岡崎研究所