不法移民対策、メキシコが同意 トランプ氏は関税言及せず、懸念残る
【ワシントン時事】トランプ次期米大統領は27日、メキシコのシェインバウム大統領が電話会談で不法移民対策を取ることに同意したと明らかにした。 ただ、不法移民や麻薬流入への対抗措置として自らが打ち出したメキシコとカナダへの25%関税の扱いには言及しないまま。両国は報復関税も視野に入れており、「貿易戦争」の懸念は依然くすぶっている。 トランプ氏はSNSで「米国への『違法な侵略』を止めるための長い道のりの第一歩だ」と強調。会談では、米国で社会問題化している合成麻薬「フェンタニル」についても協議したという。トランプ氏は、メキシコが「(米国との)国境を事実上、閉鎖する」とも書き込んだが、具体策には触れなかった。 シェインバウム氏もX(旧ツイッター)に「不法移民問題に対処してきた包括的な戦略を説明した」と投稿。ただ「国境を閉鎖するのではなく、両国政府と国民の架け橋を築く」と語った。 3カ国は、第1次トランプ政権で合意した貿易協定「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」の下、輸出入を拡大させてきた。一方で、トランプ氏が25日に関税導入の方針を示したことを受け、メキシコとカナダは報復関税の検討に入っている。 ロイター通信によると、シェインバウム氏は27日の記者会見で、「米国が関税を課せば、メキシコも関税を導入するだろう」と明言した。米メディアは、カナダが報復関税の品目選定を進めていると報じた。 米国にとって、両国は主要な貿易相手国。カナダとメキシコは、輸出の8割前後を米国向けが占めており、互いに関税をかけ合う事態に発展すれば、経済への悪影響は不可避だ。メキシコのエブラルド経済相は、貿易戦争ではなく、地域協力と統合推進を呼び掛けている。