長崎県チームの入賞一覧

　ひと言でまとめてしまえば「残念」な国スポになってしまった。天皇杯（男女総合）を獲得した２０１４年長崎国体から１０年。天皇杯順位は４０位に沈み、皇后杯（女子総合）は最下位。過去２年の天皇杯も４５位、３９位。国スポの順位付けには批判的な意見もあるが、これは各都道府県のスポーツへの理解度を示す一つの指標でもある。長崎は１０年前の“遺産”を継承できずに、再び「スポーツ弱小県」のイメージを定着させてしまった。 ■成年勢健闘 　全体の順位は下位に甘んじたが、結果を出した競技もあった。ボウリングは成年男子団体（４人チーム）がＶ２を飾ったのをはじめ、４種目で入賞して競技別で５位に躍進。銃剣道は全２種目入賞で１位、ソフトボールは１種目入賞で５位、バレーボールは３種目入賞で１２位、空手も２種目入賞で１１位と健闘した。ローイング、剣道、バドミントン、ライフル射撃、レスリング、ラグビー、陸上なども継続して賞状を手にした。 　活躍が際立ったのは成年男子勢。ボウリング、ソフトボール、銃剣道が団体優勝するなど、長崎が獲得した天皇杯の競技得点の約５割を占めた。仕事と両立させながら努力を重ねてきた選手、スタッフたちに、心から敬意を表したい。 　あと一歩で入賞を逃した種目も例年以上に目立った。団体はあと１勝で８強入り、個人は９、１０位という種目が多数あった。県選手団の中で「また９位か…」という言葉を何度も聞いた。だが、これらは総じて「頑張った」と言えるチーム、選手たち。得点こそ取れなかったが、称賛に値する奮闘でもあった。 ■低迷の要因 　一方で地元国体後に一度も入賞がない競技、九州ブロックで敗退が続く競技もある。組み合わせなどの問題もあるが、１０年間も結果を出せてない競技団体は、あらゆる面を再考する必要があるだろう。 　では、その低迷の要因はどこにあるのか。環境なのか、施設なのか、行政や学校、企業などの理解度なのか、指導者なのか。具体的に言えば、高校や中学の優秀な指導者の適正配置はできているのか。成年の主力として期待できる県外の大学生や社会人のふるさと選手を“気持ち良く”出場させるための道筋はつくれているのか－。 　「分析」や「検証」はこれまでもやってきた。でも、そこに時間を費やしているだけでは前へは進めない。各競技団体は強化に最も大切な「継続」と同時に、意欲と能力のある担当者を登用するなどの「刷新」を断行する必要があるだろう。並行してわれわれマスコミも、より理解度を深めて、現場の声を取り上げていかなければと痛感させられた。 ■人を育てる 　令和の時代に入り、勝利至上主義に偏ってはならないという意見が多くなった。だが、勝つことや力を示すことによって「やればできる」「あんな選手になりたい」という選手が生まれてくるのも確かな事実だ。 　今回、競泳勢が３種目入賞した。このところ低迷が続いていたが、現状の最強メンバーをそろえて結果を出した。特に県外に出ている大学生４人で臨んだ成年女子２００メートルリレーは県新記録で８位入賞。リレー種目の入賞は県勢として１２年ぶりで、一緒に出場していた少年勢に「次は自分たちも」という勇気を与えていた。競技団体のあるべき姿を見せてもらえたような気がした。 　プロスポーツで盛り上がるのもいい。でも、最も肝心な「子どもたちのために」「古里への感謝を忘れない人材を育成する」という意識が低下しているようでは、未来は見えない。いま一度、県スポーツ界が強く結束して、机上論にならない積極的な行動を求めたい。