西田敏行さん死去 忘れられない…鹿児島ロケの合間に見せた気さくな笑顔と役者魂 関係者が明かす素顔
17日に訃報が伝わった俳優西田敏行さんは、NHK大河ドラマ「翔ぶが如く」で主役の西郷隆盛を演じたほか、甑島や徳之島、蒲生とドラマや映画の撮影で県内各地を訪れ交流していた。県の薩摩大使として観光PRも担った。関係者は気さくな人柄をしのび、「演技を見られなくなるのは残念」と惜しんだ。 【写真】〈関連〉1997年4月、映画「釣りバカ日誌」の撮影で訪れた下甑での交流会で地域住民に囲まれて、にこやかな西田敏行さん(手前中央)=薩摩川内市甑島
「親しみやすい人だった」と話すのは、県観光誘致促進協議会顧問の中原國男さん(80)。「翔ぶが如く」放送前年の1989(平成元)年8月、ロケの休憩中に大久保利通役の鹿賀丈史さんと西田さんに冷えたスイカを持っていくと「ありがとう」と笑顔で会釈し、一人で丸ごと抱えていったという。 放送から3年くらい県の観光は絶好調が続いた。「バブル景気と重なりドラマ効果は絶大。大きな貢献をしてくれた」と感謝する。ドラマが縁で90年1月から現在まで、PR役として県が委嘱する薩摩大使も続けていた。 97年に薩摩川内市内であった映画「釣りバカ日誌9」のロケでは、下甑町手打の住民とバーベキューで親交を深めた。西田さんと記念撮影した川畑きおりさん(65)は「隣に座って腕を組んでいいか尋ねたら、『いいよ』と言ってスッと腕を出してくれた。有名人なのに気さくな人柄が印象深い」と惜しんだ。 「翔ぶが如く」で時代考証を担当した志學館大学の原口泉教授(77)は「鹿児島弁をすぐにマスターし、思い描いた西郷を演じてくれた」と振り返る。クランクアップ後の打ち上げでは「一緒にカラオケに行って『もしもピアノが弾けたなら』を歌ってくれた。気配りが細やかで、年齢は近いのにいつも『先生』と立ててくれた」と懐かしんだ。
「翔ぶが如く」の方言指導をした鹿児島市出身の俳優西田聖志郎さん(69)=東京=は「寝る時以外はずっと一緒にいて、鹿児島弁で話してほしいと言って方言を身につけた。役者魂を感じた」と振り返る。数日前に仕事仲間との話で西田さんが話題に上り、「車いすでも芝居に挑み続ける姿勢は俳優の鏡」と語り合ったばかりだった。「全エネルギーを役者に注ぎ込んだ大先輩だった」と悼んだ。
南日本新聞 | 鹿児島