『TIF2024』シャニマス、Liella! ……声優・IPコンテンツが求められる理由 アイドル文化における多様性を紐解く
世界最大のアイドルフェス『TOKYO IDOL FESTIVAL 2024』(以下、『TIF』及び『TIF2024』)が、8月2日~4日にわたってお台場青海周辺エリアにて開催される。今年は前年からは出演者を減らしているものの、例年にも増して個性的なラインナップとなっている印象だ。そのひとつとして声優アイドル/アーティスト、アニメ/IPコンテンツグループの出演数増加がある。本稿では彼女たちが現在のアイドルフェスに求められている理由を考えてみたいと思う。 【画像】『ラブライブ!』シリーズ、初の合同アジアライブツアー開催 2020年には『TIF』史上初となるフルオンラインで開催されるという不測の事態に見舞われながらも、2023年は観客による声出しとジャンプが解禁され、7万人以上が来場。過去最大の動員となった2019年には及ばないものの、例年並みの熱狂が戻ってきた。『TIF2024』のラインナップを見てみると、7月8日の段階で186組と、前年が200組以上出演したことと比べると減少しているものの、『ウマ娘 プリティーダービー』や『アイドルマスター シャイニーカラーズ』、Aqours、Liella!、さくら学院で活動していた声優の堀内まり菜、ARCANA PROJECTなど多数の出演者がアナウンスされており、例年以上に盛り上がりを見せている。 2013年に当時5人組のガールズユニット 9nineが出演して以降、2014年にi☆Ris、春奈るな、2017年に芹澤優、2019年に22/7などの出演が続いていたが、まだまだ数は少なかった。というのも、声優アイドルにとって夏といえば、『TIF』と同時期に『Animelo Summer Live』というアニソンイベントがあり、ある意味明確な棲み分けがなされていた。 しかし、その節目が変わり始めたのが2020年。2020年のオンライン開催では虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会、ときのそら、DIALOGUE+、22/7、サンドリオン、2021年にはIDORY PRIDE、DIALOGUE+、銀河アリス、琴吹ゆめ、2022年にはARCANA PROJECT、かしこまり、東雲めぐ、22/7、2023年には芹澤優、DIALOGUE+、えのぐ、雨ヶ崎笑虹、根本凪など、2020年を皮切りに徐々に声優アイドル・アーティスト/アニメ・IPコンテンツグループ声優アイドル/IPコンテンツグループが増えていく。 その背景にはこれまで2次元界隈で消費されていたコンテンツが、『ラブライブ!』シリーズや『アイドルマスター』シリーズ、『ウマ娘 プリティーダービー』の社会現象化、及びアニメコンテンツが全方位で受け入れられるようになったこと、そして新型コロナウイルスによるオンライン開催、特『バーチャルTIF』のステージが設置されたことにより、2次元コンテンツとの相性の良さが再確認されたことが大きい。 2次元コンテンツが一般化した現在では、アイドルとの境はすでに曖昧になっている。かつてはアイドルといえば、主に3次元のみを対象としていたが、『ラブライブ!』における虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会のような作品から独立して活躍しているグループや、芹澤や小倉唯のように、2次元コンテンツと一定の距離を取りながらもアイドル的な人気を獲得している“ソロアーティスト”の存在によって、アイドルの解釈に変化が生まれてきている。