「パリ国際ランジェリー展」リポート 中国新興ブランドによるチャイニーズ・ルネッサンス
中国らしさをモダンに表現する、新世代デザイナーが台頭
新興ブランドは欧州勢が大半を占めるものの、中国、香港、日本などのアジア勢の存在感が高まっている。特に、若手デザイナーによる中国ブランドは創造性に優れ、欧州ブランドに見劣りしないレベルだ。これはコロナ禍前には見られなかった傾向だ。
中国・上海が拠点の「ハーセンス(HER SENSES)」は、フランスと中国の下着業界でキャリアを積んだ2人の女性が19年にスタート。バウハウスに影響を受けた構築的なカッティングが特徴で、成都に直営店があり、台湾やバルセロナにも卸先を持つブランドだ。
同じく上海発の「スティル アドア(STILL ADORE)」は、自然界の色やモチーフを着想源にしたデザインで、ストレッチレースと幅広ゴムを組み合わせたフェミニン&スポーティーのミックススタイルで、消費者と同じエネルギーを持つ新しいチャイニーズスタイルを提案している。中心価格帯はブラジャーが、7500~9800円、ショーツが3000円程度と、欧州ブランドに比べると値頃感がある。
23年にデビューしたばかりにも関わらず、ヨーロッパにも販路を広げている「ルーナマイン(LUUNA MINE)」。中国でラッキーモチーフとされる月や、上海の街並をグラフィカルに描いた柄など、中国ブランドとしてのアイデンティティーをモダンに表現。このように中国らしさを積極的に打ち出すクリエイションを、“チャイニーズルネッサンス”と呼ぶようだ。
中国経済の減退により、国内から海外への販路を広げようと挑む中国ブランド。欧州ブランドより手頃な価格と個性的なクリエイションを武器に、日本市場に浸透する日も近いかもしれない。