新たな道で〝1軍デビュー〟目指す「誰かの役に立てたら」ソフトバンク戦力外の元育成左腕・加藤洸稀さんが来季から3軍打撃投手
今オフに育成選手だったソフトバンクを戦力外となった加藤洸稀さん(21)が、来年から3軍打撃投手として第二の野球人生を歩み始める。今季までの3年間で公式戦登板がなかった左腕は「自分ができることで誰かの役に立てたら」と意気込んでいる。 ■元タレント夫人と腕組みハニカミ2ショット【和田毅秘蔵写真】 兵庫県出身で2022年に兵庫・滝川二高から育成ドラフト6位で入団したが、特にこの1年間は苦しかった。昨季までともに3軍の先発ローテで投げていた三浦瑞樹(今オフに戦力外→中日と育成契約)や前田純らが次々と1軍デビュー。「すごい好きな先輩たちなのでうれしかったんですけど、自分は何してるんやろって。自分に腹が立つ思いはずっとありました」。 先輩たちに続こうともがいたが、夏に左ひじをけがしたこともあり、最後まで結果を出せなかった。それでも「この3年間やりきったという思いは強い。選手に未練はない」と振り返った。その上で「野球に携わる仕事がしたかった。子どもみたいですけどみんなと離れるのも寂しかった」と球団に残ることを決めた。 フロントには「現場でできる仕事がしたい」と伝えていた。そんな中、11月下旬に提案されたのが打撃投手だった。「事業部とか、用具担当とかかなと思っていたんですけど。投げることは今でも好きなのでうれしかった」。 球団に提案を受けた3日後には、引退後に打撃投手として長くチームを支え続ける濱涯泰司さんの著書「職業・打撃投手」を購入。数日で読破し、もう2度目に突入しようとしている。また、育成で同期入団した藤野恵音らに投げてどんな球が打ちやすいのかを聞いたり、先輩の打撃投手にアドバイスをもらったりして研究中だ。 「速すぎてもいけないし、遅すぎたら球が垂れてしまう。打者に気を使い過ぎて〝イップス〟になる人も多いと聞いた」。打撃投手では「ルーキー」となる左腕は、打者に気持ちよく打たせる球を投げることの難しさを早くも痛感している。 現役時代は最速145キロ。今季は3、4軍のファーム非公式戦で19試合に登板して防御率4.50だった。「今シーズンめっちゃ打たれたので、同期のみんなから『打撃投手、得意なんちゃう』って言われました。速い球は投げられなかったけど、逆にこっちの方が選手のときより稼げるのかもしれない」と笑う。 将来的な目標は「何年後になるか分からないけど、やるからには1軍で投げてチームに貢献したい」。現役時代に果たせなかった〝1軍デビュー〟をかなえるため、21歳が新たな道を歩み始める。(大橋昂平) 【#OTTOソフトバンク情報】
西日本新聞社