自民党執行部の“二重処分”に不満の声も… 苦境の「裏金議員」が法的な救済策を求めることはできる?
衆院選の投開票日が27日に迫っている。 新聞社やテレビ局による世論調査や情勢調査では依然として「裏金議員」に対する批判は大きく、「与党過半数は微妙な状況」(共同通信社)「与党過半数割れも」(産経新聞社・FNN)といった報道も相次いでいる。 【一覧】4月に自民党から処分を受けた39人 石破茂首相・自民党総裁ら自民党執行部は、今回の選挙で裏金議員の一部を非公認とし、公認した候補であっても、収支報告書への不記載がある議員は比例重複を認めない措置をとっているが、各社の報道では、非公認候補を中心に、劣勢が伝えられている。 これらの措置に対し、非公認などになった「裏金議員」や自民党内、支持者などからは、自民党執行部の判断に疑問や不満の声もあがっているという。 裏金議員とされる候補者の中には、選挙戦を前に立候補を辞退した議員も現れており、選挙戦を戦う議員側も、報道通りの「国民からの厳しい審判」が下されれば、不満を募らせ、執行部への法的な手段を検討する関係者が出てくる可能性もゼロではない。
非公認議員、司法での“救済”は「難しい」
たとえば、自民党による“処分”を受けた裏金議員が党を訴え、地位の確認・復活や損害賠償など法的な対応を取ることは現実的なのだろうか。 これについて政策秘書や市議会議員を務めた経験があり、現在は議員法務に注力する三葛敦志弁護士は「法的に何か救済を求めるのは、極めて難しい」と話す。 「選挙がすぐそこに迫っているというタイミングの部分などさまざま関係しますが、大きな要因としては、過去の判例があります」(三葛弁護士) 共産党による幹部党員の除名の当否が争われた「共産党袴田事件」では、1988年に最高裁判所は下記の判断を示していた。 1.政党が党員に対して行った処分は、一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的な問題にとどまる限り、裁判所の審判権が及ばない 2.政党が党員に対してした処分の当否は、政党の自律的に定めた規範が公序良俗に反するなどの特段の事情のない限り適正な手続きに則って処分の判断がされたか否かによって決すべき 「非公認や比例重複を認めないという自民党執行部の判断は、あくまで政党内部の問題です。 そもそも、非公認や比例重複を認めないという判断は、政党からの除名を意味するものですらなく、『一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的な問題』と考えられます。 非公認となっても、党籍を保持したまま選挙に立候補し(それが反党行為と認定されれば除名もあり得ますが)、当選した場合には、これまでの事例を踏まえると、あとから党の追加公認を受ける可能性もあります。 組織から追い出すことすら意味しないわけですから、そのようなものに司法審理はなじまないと思います」