【社説】物理的衝突まで扇動する尹錫悦大統領、直ちに隔離すべき
「内乱首謀者」の容疑が持たれている大統領尹錫悦(ユン・ソクヨル)が、官邸前に集まった弾劾反対デモ隊を督励し最後まで闘うと宣言した。高位公職者犯罪捜査処(公捜処)の逮捕状執行が迫ると、これを阻止してほしいと支持者たちに訴えたものとみられる。検察総長出身の大統領が裁判所が発行した令状を拒否することもあきれるが、法を執行する捜査機関に向けた物理的衝突を事実上扇動したのだ。これ以上、このような状況を放置してはいけない。 尹大統領は1日、ソウル漢南洞(ハンナムドン)の大統領官邸前に集まったデモ隊に手紙を送り、「主権侵奪勢力と反国家勢力の蠢動(しゅんどう)で、大韓民国が今、危うい」としたうえで、「私は皆さんと共にこの国を守るために最後まで闘う」と述べた。違憲的な戒厳令で軍隊と警察の高官たちが立て続けに拘束起訴されているのに、反省の色が全く見えず、ひたすら「自分を守ってくれ」と訴えることで、国を危険にさらしている。無責任かつ厚顔無恥であり、卑劣きわまりない。 弁護人たちが並べる詭弁も一線を越えている。ソク・トンヒョン弁護士は1日、官邸前の集会の演壇に上がり「世論戦を繰り広げれば勝てる」とし、「逮捕状は違法で無効」だと主張した。弁護団も立場表明文を発表し、「警察機動隊が公捜処に代わって逮捕・捜索令状の執行に乗り出すならば、職権乱用および公務執行妨害罪の現行犯で警護処はもちろん市民の誰にでも逮捕されうる」という荒唐無稽な主張を展開した。事実上、デモ隊に警察を攻撃しろと言っているも同然だ。このような「暴動の扇動」をいつまで放っておかなければならないのか。 尹大統領と弁護団のこのような扇動によって、デモ隊はますます過激になる兆しを見せている。あるユーチューバーは「100リットルのガソリンが入ったドラム缶に、芯を入れて火をつけたまま転がし、爆発すれば半径30メートルは火の海になる」、「ゴム鉄砲や鉄パイプ、火炎瓶、石などすべての防御的資源を確保しておかなければならない」とし、また別のユーチューバーは「民兵隊を組織して決死の覚悟で阻止しよう」と主張した。軍を動員して国会を侵奪する「内乱」を起こしたうえに、今度は自分を支持するデモ隊を踏み台にして「第2次内乱」を扇動しているのだ。これに対し、最大野党「共に民主党」は物理的衝突など突発状況を懸念し、2日に所属議員たちに「非常待機令」を下した。 公捜処をはじめとする共助捜査本部は、尹錫悦という内乱容疑者を直ちに逮捕し、一日も早く社会から隔離しなければならない。扇動を止めなければならない。韓国社会がさらされている危険があまりにも大きく、これ以上(隔離を)見送るわけにはいかない。 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )