インド前首相のマンモハン・シン氏死去 92歳 経済発展の基礎築く
インドで少数派シーク教徒として初めて首相を務めたマンモハン・シン前首相が26日、92歳で死去した。搬送先の首都ニューデリーの病院が明らかにした。加齢に伴う疾患で治療を受けていたが、容体が急変したという。経済に詳しいことで知られ、1990年代は財務相として経済自由化に尽力。インド経済発展の基礎を築いた。 英領インドのパンジャブ州ガー村(現パキスタン中部)出身。英国で経済学を学び、デリー大学などで教壇に立った後、71年に政府の経済顧問に就任。財務次官などを経て82~85年はインドの中央銀行であるインド準備銀行の総裁を務めた。 シン前首相の業績は91~96年の財務相時代、経済自由化を推進したことだ。中央集権的で社会主義色が強かったインド経済で外国資本への市場開放を進め、経済発展をもたらした。2004年の総選挙で所属する国民会議派が勝利した際、イタリア出身のソニア・ガンジー総裁が首相を辞退し、シーク教徒として初めて首相に就任した。 2期10年を務めたが、後半は経済成長が鈍化したほか、閣僚などに汚職疑惑が続発。連立政権の少数与党として政権運営を担ったが、政策決定能力に欠けることから「ガンジー総裁の操り人形」との批判にさらされた。14年の総選挙でインド人民党が圧勝したのを機に政界から身を引いていた。