高須クリニック院長・高須克弥 全身がんには「NO」!「人生はおもしろければそれでいい」
「自分の身体で“治験”をすることにした。」
「明後日から入院して、治療は週5日。『ミサイル攻撃』と『ドローン攻撃』を同時にやるような激しい感じだね」 【画像】全身がんには「NO」! 闘病中の高須克弥氏「素顔写真」 全身がんを患(わずら)っているとは思えないほど、生き生きと語るのは『高須クリニック』創業者で院長の高須克弥氏(79)だ。’15年に尿管がんが見つかった際にほかの場所への転移も判明し、現在は入退院を繰り返しながら、がんと闘病中だ。 FRIDAYインタビューを実施した翌々日の11月下旬から、約2ヵ月に及ぶ入院生活を控えている高須氏。そこで使用する最新のがん治療機器を1億6000万円で購入し、入院先の病院に寄付したことをSNSで報告し話題となっていた。 「内臓が弱って抗がん剤に耐えられなくなってしまって、自分の身体で“治験”をすることにした。購入した機器でがんの位置を特定して温熱で弱らせる『ハイパーサーミア』と、弱らせたがんの部分にだけミサイル攻撃みたいに放射線を当てる『リニアック』の二つを同時に実施する。普通の人は1週間に1回くらいのペースだけど、敵を殲滅(せんめつ)するなら同時に飽和攻撃したほうが有効だよねってことで、『週5日やってください』って頼んだの」 二つの最新治療を同時にやる超アグレッシブな方法だが、不安はないという。 「明日は朝から名古屋でゴルフ、年末年始は自宅で過ごして、相撲部屋のパーティに出席予定もある。週5日のゴルフが治療に変わるけど、未来のがん治療に僕のデータが役立つなら嬉しいですよ」 ◆美容整形のはじまり 日本を代表する美容外科医でありながら、独自のキャラクターと言動で注目を集めてきた高須氏。そもそも美容外科を志したきっかけは大学院生の時に遡(さかのぼ)る。 「西ドイツのキール大学に研修留学に行ったんです。本来は教授クラスのための交換留学制度だったんですけど希望者がいなくて、手を挙げたのが僕だけだったので行けることになった。そこでは骨を切って鼻の形を変える手術をやっていて、『おー、すっげえ!』ってビックリ! 丸い鼻が、シュッとした鼻に変わって……。『こんなすごい技術は日本にはない。この技術を持って帰れば、日本で第一人者になれる』と思ったんです」 そして’74年、愛知県西尾市に最新の整形外科技術を導入した『高須病院』を開設。その技術の高さが評判になり、’76年には名古屋市に新たな自由診療の『高須クリニック』をつくった。 「″美容整形″という分野は僕が開業した頃はなかったんですよ。だから美容整形をやっている医者たちは、病院としては整形外科の看板を出して、少し場違いな歓楽街の奥まったようなところで、膣を狭くするとか、包茎を治すとか、コソコソと診療をやっていたんです」 そんな世間から後ろ指を差されるような美容整形を、医療として根付かせ、革新的な技術を確立していったのが、まさに高須氏なのだ。脂肪吸引、ヒアルロン酸注入、ボトックス注射(筋肉の動きを麻痺させてシワを軽減)、メスを入れないクイック二重術――これらはすべて高須氏が最初に海外から導入したか、編み出した技術である。また、近年では整形大国と謳(うた)われる韓国に美容整形の技術を教え、『大韓美容外科学会』の名誉会長にも就任している。 高須氏の実家は地元の愛知県西尾市では名家だ。『本能寺の変』が発生し、這う這うの体で堺から三河に逃げ帰った徳川家康の治療をしたのが、先祖である。そこから家業として医者を続けてきた家系であり、医業に対しては染みついた信念があったようだ。 「僕が美容整形を始めると言った時に身内から、『高須家は昔から患者のために働く医者の家系だ。医者じゃないことをするなら、かっちゃんを親戚から排除する』とまで言われました。僕はその時、『将来、美容整形は時代の主流になる』と説明して、実際にそうなったのですが……。 今になって『やっぱり、彼らの言っていたことは正しかったな』と思うんです。美容整形なんて病人じゃない人間しか診ない科ですよ。病人でない人間にメスを入れる科なんてのは、やっぱり外道。医者って軍人みたいなものじゃないですか。自分を犠牲にしてでも、病(や)んでる人を救おうとするのが務めです。そういう仕事だから、医師免許という武器を与えられ、いろんな権限を与えられている。それなのにその武器を使って、お金を稼ぐ仕事が美容整形ですから」 加えて、最近の若い医者の志の低さに警鐘を鳴らす。 「業界では″直美(ちょくび)″と言われているんですけど、大学を卒業して美容整形に就職する医者が今はいっぱいいるんですよ。急患は来ないし、当直もないし、訴えられることもなければ、給料も良く、休みたいときに休める。うちにも就職したいと、″直美″がいっぱい来ますが、『来るんじゃない! 他所(よそ)へ行け』って追い返してます。美容整形の医者が増えすぎたら、国は確実に滅びます」 美容整形の第一人者でありながら、業界を冷静にとらえる高須氏のスタンスには驚かされるが、医業全体を俯瞰(ふかん)して見ているからこその考えなのだろう。 ◆異名は『絶倫ドクター』 そんな彼の肩書は″美容外科医″以外にも、篤志家、売れない文筆家、教育者、ギャンブラー、馬主、フリーメーソン、芸人、僧侶など多くある。過去には『絶倫ドクター』という異名があったことは、あまり知られていない。 「『高須クリニック』を開業した当時、目新しい美容整形の看板を掲げた私のところに取材に来る記者が時々いたのです。で、読売テレビの記者の取材を受けたとき、先生の話は面白いので、『2時のワイドショー』という番組に出てくれませんか、とオファーを受けた。それが当たったもんだから『11PM』の準レギュラーになって、『ギルガメッシュないと』(テレビ東京系)とか『トゥナイト』(テレビ朝日系)にも出演しましたね」 最近では、″商売敵(がたき)″といえる『にしたんクリニック』のCMに登場し、テレビ視聴者を驚かせたことも記憶に新しい。79歳にして、どうしてここまで突き抜けた生き方ができるのか。 「おもしろければそれでいいの。そもそも『高須クリニック』のCMだって、お客さんに来てほしいなんて考えは全然ない。CMの演出も、『にしたん』との共演も、おもしろいから、ってただそれだけ」 おもしろいものには『Yes』、それ以外には『No』――高須氏は、至ってシンプルに人生を愉しんでいた。 『FRIDAY』2024年12月27日号より
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