Yコンビネータ出身の韓国企業「Superb AI」が累計56億円調達でIPOに前進
米サンフランシスコのYコンビネータを卒業した韓国のAIスタートアップ、Superb AIが、韓国最古のコングロマリットである斗山(トゥサン)グループのコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)が主導したシリーズCラウンドで1020万ドル(約15億5000万円)を調達した。 このラウンドには、現代自動車やサムスン・ネクスト、カカオ・インベストメントのほか、既存株主であるKTインベストメントらが参加した。Superb AIは、評価額を公表していないが同社の累計調達額は、約3700万ドル(約56億円)に達した。 Superb AIの共同創業者でCEOのキム・ヒョンスは、2020年にフォーブスの『30アンダー30』のアジア版に選出されていた。同社は、2026年に韓国市場への上場を予定している。 2018年設立のSuperb AIは、コンピュータビジョンなどのAIの活用を望む企業向けに、データ収集からキュレーションやラベリング、モデル構築、デプロイまで、エンドツーエンドのツールを提供している。同社は、ソウルとサンマテオ、東京にオフィスを構え、現代自動車やサムスン電子、LG電子、SKテレコム、カカオ、NCSoft、トヨタ自動車、クアルコムなど100社以上の顧客を抱えている。 キムは、デューク大学のコンピュータ・サイエンスの博士課程を中退してSuperb AIを創業した。彼は、シリーズCの投資家の中でも、特に製造業の企業との相乗効果を見込んでいる。「工場には多くの機械部品があるが、現状は作業員が手作業で正常に作動していることや、ひび割れがないことを確認している。これは非効率的な上、不正確でコストもかかる。我々は、これらのプロセスの多くを自動化しようとしている」と彼は話す。 今回のラウンドのリードインベスターである斗山インベストメントは、グループ会社に原子力発電所の部品を製造する斗山重工業や、建設機械を手掛ける斗山ボブキャット、水素で動くドローンを製造する斗山モビリティ・イノベーション、協働ロボットを開発する斗山ロボティクス(韓国最大のロボットアームメーカーで2023年の上場、3億1200万ドルを調達)などを持っている。 キムによると、Superb AIのソフトウェアは、現代自動車の自動運転車開発にも役立つ可能性があり、サムスンのスマートフォン向けAIの構築を支援できるという。また、韓国の通信会社KTのコーポレートベンチャーキャピタルであるKTインベストメントは、2019年のシードラウンドからSuperb AIに出資しており、キムによると、Superb AIはKTと協力して同社の企業向けのAIモデルを構築することを目指しているという。