「日ハム、ロッテもいいが…」今年のドラフト“パ・リーグで最も成功した球団”は? 楽天・宗山塁は「いきなり1、2番起用も」小笠原道大が大胆予想
オリックスは投手の補強も急務だったが…
――オリックスは西川史礁選手(青山学院大)のクジを外して、走攻守三拍子揃った外野手の麦谷祐介選手を1位で指名しました。 小笠原 本来なら「ピッチャーを取らなければ」と考えていたと思うんですよ。山本由伸が抜けて、宮城大弥も出遅れて……というシーズンだったので、投手陣の補強は急務。でも、「慣れが出てしまった」という中嶋聡前監督の言葉にあったように、野手陣の競争が足りなかった部分がある。そこで既存の戦力に一石を投じる力を持った選手を指名した、というところでしょうね。うかうかしていられないぞ、と。 ――麦谷選手には1年目からチャンスがありそうですか。 小笠原 使われるでしょうね。監督も代わって、新しい戦力を抜擢しやすい環境が整っている。チャンスどころじゃなく、「ぜひポジションを掴んでくれ」というくらいの状況だと思いますよ。麦谷選手にかぎらず、ピッチャーにしてもそうです。 ――特に期待したい選手はいますか? 小笠原 3位で指名された山口廉王投手(仙台育英高)。193cmの大型右腕です。山本由伸を筆頭に、宮城大弥、山下舜平大、山崎颯一郎と、オリックスは高卒の投手を育てるのが非常にうまい。1年目、2年目で土台を作って、3年目に経験を積ませて、4年目か5年目には柱にする、と。コーチ陣に盤石のメソッドがあるので、順調に育っていってほしいですね。
「“隠し玉”的な存在」西武の期待は…
――今季91敗、勝率.350と非常に苦しいシーズンを送った西武のドラフトについても聞かせてください。宗山選手、石塚裕惺選手(花咲徳栄高)と2度クジを外し、高校生内野手の斎藤大翔選手(金沢高)を1位指名しました。 小笠原 斎藤選手が将来有望であることは間違いないとしても、即戦力ではない。それでもなお、1位に高校生を選んだ。「時間をかけてでも再建する」という覚悟が見えましたよね。普通はやらないですよ。何度外しても、なんとか即戦力に近い選手を取りにいきたい状況なので。 ――斎藤選手を含めて高校生を4人指名しています。 小笠原 そこはすごいなと思いました。加えて、高校生以外の指名もとても西武らしい。2位の渡部聖弥選手(大阪商業大)も、4位の林冠臣選手(日本経済大)も、7位の古賀輝希選手(千曲川硬式野球クラブ)もスラッガータイプ。「パンチ力のあるバッターを取る」という伝統、ある意味でその基本に立ち戻ったと言えるかもしれません。古賀選手なんて、昔でいう“隠し玉”的な存在ですよね。うん、これはすごく面白い。 ――今年の結果、チームの現状を受け入れたうえで、原点回帰のような……。 小笠原 いまの状況だからこそやりやすい、という側面もあるのかな。とにかくゼロからチームを作っていこう、腰を据えて強い西武ライオンズを取り戻そう、と。もちろん、時間はかかるかもしれませんけどね。 ――それでは、パ・リーグで一番いいドラフトだった、と小笠原さんが評価するのはどの球団でしょうか。 小笠原 うーん、難しい(笑)。即戦力の楽天か、将来性の日ハムか……。1位、2位で打てる選手を取ったロッテもすごくいい。これは甲乙つけがたいですね。目玉の宗山選手を取れたという意味で楽天がちょっと目立つけど、日ハム、ロッテも大成功。そう言っていいんじゃないかと思います。 <「指名を逃した選手へのエール」編へ続く>
(「プロ野球PRESS」曹宇鉉 = 文)
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