「狙えるものは狙いたい」…2発&打率.329で現在“3冠王”のヤクルト村上宗隆は史上最年少の偉業を達成できるのか?
残り34試合で16本は簡単なノルマではないが、5打席連続本塁打を放ったゾーンに入ったときの村上の量産態勢を考えると不可能とは言えない。6月には月間14本を打った。 そして村上は9回にも根尾からライト前ヒットを放ち、打率を.329まで上げて、この時点で暫定3冠となった。首位打者争いのライバルの横浜DeNA佐野も、その後のナイターの広島戦で2本打ったが、.328止まり、“暫定”が取れ、わずか1厘だが、村上が上回って、打率、本塁打、打点の3部門でトップに立ったのである。 100試合以上を消化時点での3冠キープは、2004年の松中氏以来。いよいよ1982年に天才バットマン落合博満氏(ロッテ)が28歳で達成した史上最年少記録をも更新しての3冠獲得が現実味を帯びてきた。 村上も、「打率というのは上がったり下がったりするものなので特に気にはしていないですが、今こういう位置で個人の成績としては凄くいい位置にいるので狙えるものは狙いたい」と、堂々と3冠王を狙いにいくと公言。そして「でも、まずはチームの優勝が第一。とにかく優勝できるように頑張りたい」と続けた。 では、3冠王獲得の可能性はどうなのか。 タイトル獲得経験のある某大物評論家の意見はこうだ。 「3冠王はありえると思う。村上は相手バッテリーに警戒されて1試合にひとつは四球を取る。となると打数が減るので1試合に1本ヒットを打てば3打数1安打で打率.333となり打率は下がらない。バットコントロールにすぐれた佐野の方がヒット数は打つが、3番で、後ろに牧がいるため四球数は増えない。横浜DeNAが好調なので両チームが優勝争いに絡んでくると、また事情は変わってくるが、村上が3冠王を獲得する条件は揃いつつある」 そして村上のバッティング技術を称えた。 「村上は、今流行のフライボール革命のスイングではない。昔ながらのダウン、レベル、そこから最後にアッパーというバットの軌道のためにボールに逆スピンがかかる。この日の2本は、いずれもそうだ。彼の三振数は決して少ないとは言えないが(92個でリーグワースト3位)アッパースイングではホームランにできないコースをホームランにできる。残り34試合で16本を打って60本を超えることは難しいかもしれないが、村上のようなホームランバッターは、一度ゾーンに入ると続くものだ。可能性はないとは言えない」 村上が狙う3冠王&60本は決して夢物語ではない。