プレッシャーのかかった場面でも、いつでも同じテンポ。山下美夢有の最強スウィングをプロが解説【勝者のスウィング】
国内女子ツアー最終戦「JLPGAツアー選手権リコー杯」で連覇と2年連続の年間女王に戴冠した山下美夢有。みんなのゴルフダイジェスト編集部員でプロゴルファーの中村修が現地で見た山下美夢有のスウィングを解説。 山下美夢有のドライバー連続写真はコチラから
早いもので国内女子ツアーは最終戦の「JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」で、すべてのトーナメントを終えました。
11月下旬とは思えない暖かさで、雨もない4日間となりましが、連覇を達成し2年連続の年間女王にも輝いた山下美夢有だけでなく、年間女王を狙ったシン・ジエ、初日に好スタートを切った森田遥、米ツアーから駆け付けた古江彩佳、2位で終えた高橋彩華選手など多くの選手が2023年を締めくくる好プレーを見せてくれました。 山下選手は初日、二日目と申ジエ選手と同組でプレーしましたが、初日から優勝争いをする最終組のような緊迫感が漂っていました。山下選手には想像を超えるプレッシャーがあったとは思いますが、ボギーが先行しても押しつぶされることなく最終日まで安定したプレーで連覇を果たしましたことは見事でした。 山下選手は、「今季海外メジャーに挑戦したあとに自分らしいプレーができていなかった」と優勝会見で振り返りました。ドローヒッターの山下選手はフェード向きのセッティングも経験したことで「私の持ち球のスウィングができなくなったりして」とドローさせたいのにフェードしてしまうという、いわゆる逆球が出てしまっていたといいます。 そのことによって中盤以降は納得のできる成績を収められず、10月半ばから「もう一回しっかり自分のスウィングの位置を確認してやりました」と取り組んだことで、ショットも安定して来ていたと話しました。 ここからくみ取れることは、持ち球の重要性だと感じています。ドロー、フェードを打ち分けるスタイルの申ジエ選手や畑岡奈紗選手のような選手も確かに存在しますが、持ち球の球筋に磨きをかけることがマネジメントをシンプルにし、メリハリのあるプレーにもつながります。 ただ宮崎CCは右ドッグレッグが多く松林が壁のように左サイドに並んでいますので、木のラインからフェードさせると右のラフに入るので、フェードヒッターにはとても難しいレイアウトになっています。フェードヒッターで上位で終えたのは川岸史果、竹田麗央選手がともに7位タイと二人だけでした。 山下選手、古江選手、2位で終えた高橋彩華選手はいずれもドローヒッターですが、中でも高橋選手はフェードにトライしてシーズンを過ごしていましたが、「ドローに戻したこともあり最終戦の2位につながった」と話してくれました。 ドローヒッターの山下選手のスウィングを改めて見てみると、フェースを開かずに上げ、球をつかまえる準備を整えたら、インパクト前後で急激にフェースを返すような動きをしていないことが見て取れます。