トルコで個展の塩田千春さん、「一期一会」の作品作り 秋篠宮ご夫妻がご鑑賞
トルコを公式訪問中の秋篠宮ご夫妻は現地時間6日午前、イスタンブールにあるイスタンブール現代美術館で、日本の現代美術家、塩田千春さんの個展をご覧になった。全世界を舞台に活躍する塩田さんのメッセージ性あふれる作品は、トルコでも人気を博している。 ■一期一会 部屋中に、毛細血管の如く壁に張り巡らされた赤い毛糸。絡み合った毛糸は観覧者を導くアーチを作り出し、その隙間からは、床に置かれた無数のトランクが見える。 日本・トルコ外交関係樹立100周年記念事業の一環として、イスタンブール現代美術館で9月から開催されている個展「Chiharu Shiota Between Worlds」。 塩田さんによると、作品は、同美術館が海運業の倉庫を改装した建物であることに着想を得たという。「たくさんの旅人が美術館に来て、交流が生まれる。旅人が使うスーツケースと、人をつなぐ赤い毛糸を使って、人のつながりを表現したかった」と説明する。 10人掛かりで2週間掛けて制作。約300平方メートルの広さの部屋に、合わせて長さ約250キロに及ぶ毛糸を張り巡らせ、51個のスーツケースを置いた。作品は、現地の雰囲気を感じて作る。そのため、同じ形のものは二度と作れない。まさに「一期一会」だ。 ■相互交流に貢献 塩田さんによると、芸術家を志した当初は絵画を制作していたが、塩田さん自身のオリジナリティーを出すために、毛糸を使って空間に描く手法を生み出したという。 こうした独創的な作風は反響を呼び、今回の個展にも多くの人が訪れているという。 「女性の国際的な活躍を促す大きな原動力となった」などとして、今年度、日本と海外の相互理解促進に貢献した文化人に贈られる「国際交流基金賞」を受賞した塩田さん。10月には、東京都港区の赤坂御用地で、ほかの受賞者らとともに秋篠宮ご夫妻と面会していた。 塩田さんは「写真でも作品は見れるが、じかに見ると全く違う感覚が生まれてくると思う。現地で見ていただけるのはうれしい」と話した。(吉沢智美)