「ビン牛乳の日」制定、11月26日に…山村乳業「腰に手を当てて最高の一杯を」
瓶入り牛乳のおいしさと文化的価値を次世代に継承しようと、三重県伊勢市の老舗乳製品メーカー「山村乳業」は、11月26日を「ビン牛乳の日」に制定し、日本記念日協会の登録を受けた。風呂上がりに飲む瓶入り牛乳をイメージし、2本の牛乳(11)と風呂(26)の語呂合わせという。初の記念日となる26日、山村乳業は市内の直売店2店で、瓶入り商品を通常の半額程度で販売する。(新良雅司) 【写真】「ビン牛乳の日」の記念日登録証を手にする山村さん
宅配や給食などで親しまれてきた瓶の牛乳の生産量は、紙パックの牛乳が普及するのに伴って減少傾向が続いてきた。
農林水産省の統計によると、2023年10月の容器別牛乳生産量は「紙製」が90・2%を占め、「ガラス瓶」は2・6%にとどまった。500ミリ・リットル未満の瓶入り牛乳の生産量は10年前の3分の1に、製造工場は半分に減った。
山村乳業によると、牛乳瓶を再利用する際の洗浄などに経費がかかることや、製造設備の老朽化などが背景にあるという。
それでも、1919年の創業以来、瓶容器での製造にこだわり続けている。看板商品の「山村牛乳」をはじめ、「山村コーヒー」「山村フルーツ」など、国内の乳製品メーカーで最多の14品目47種類に上る瓶入り乳製品を生産している。
「牛乳の鮮度と風味の保存には、紙パックよりも瓶の方が優れている」。担当者は、そう力を込める。
大手の森永乳業(東京)は、今年3月末で瓶入り商品の販売を終了した。山村乳業は「このままでは、瓶入り牛乳がこの世から姿を消してしまう」と危機感を抱き、記念日を制定することを決めたという。
広報担当の山村卓也さん(34)は「昔ながらの牛乳配達で瓶がぶつかり合う音、紙のキャップを開けた時の香り、瓶のひんやりとした口当たり……。瓶入り牛乳はおいしさに加え、五感に訴える文化的価値がある」と話す。
記念日の26日は、伊勢神宮内宮前と外宮前の直売店「山村みるくがっこう」で、山村牛乳など13品目の商品を通常の半額程度で販売する。山村さんは「瓶入り牛乳は、銭湯や温泉などで風呂上がりに飲む定番商品でもあります。記念日にはぜひ、腰に手を当てて、最高の一杯を味わってみてはどうでしょうか」と呼びかけている。