ソチ金候補 高梨沙羅にライバルはいるか?
12月7日にノルウェーのリレハンメルで行われた、W杯ジャンプ女子開幕戦。昨シーズン総合優勝を果たしている高梨沙羅は、危なげの無い勝ち方をした。 ■悪条件の中での好成績 試合2日前に予定されていた公式練習は、ジャンプ台整備のために中止になり、6日の公式練習も強風で転倒者が出て中断したうえで1本のみ強行されたが、日本勢は危険性を考慮して取りやめた。さらに当日の午前に予定されたトライアルラウンドと予選も強風のため、予選のみが長い中断を経て実施されるという条件。そして試合になると、予選の時には強い向かい風だった条件も弱い追い風に一変するという、選手にとっては厳しいものだった。 だがそんな中で高梨は、「一本目は助走で体を前に突っ込ませる悪い癖が出てしまい、踏み切りで足の力をジャンプ台に伝えられなかった」と反省するものの、ヒルサイズを2m超える102mを飛んでトップに立った。飛距離こそ、ベテランのダニエラ・イラシュコ(オーストリア)に0・5m上回られたが、追い風によるウインドファクターの加点と、テレマークを入れた完璧な着地の飛型点で7・9点差をつけた。 さらに2本目は、全選手中最も強い追い風を受けながらも96・5mを飛び、2位のイラシュコに16点の大差をつける圧勝で五輪シーズンを滑り出したのだ。 ■ライバル候補 大柄のイラシュコ だがそんな彼女も今回、弱点が露呈した。6日の混合団体の1本目は激しい雪の降る条件の中でのジャンプになり、飛距離は91mに止まってグループ2位になった。助走路の溝に雪が溜まったため、体重の軽い高梨はスキーが詰まってしまって助走スピードが落ちてしまからだ。 そんな彼女を上回ったのは体も大柄なイラシュコだった。通常なら助走スピードも時速で0・2kmくらい速いだけだが、その時は1kmも上回って92mを飛んだのだ。実力的には高梨が頭ひとつ抜け出しているとはいえ、ソチはそれほど寒くはならないことも予想される。そこで湿気のある雪が降るような条件になればその影響は大きくなり、力の差はさらに縮まって来る可能性も高いのだ。 ■成長著しい2人の15歳 またこの開幕戦では、昨シーズンのW杯中盤戦でケガをして以来欠場をしていたイラシュコが、踏み切りの技術を改良してきているのが見えたのに加え、新顔の選手も上位に顔を出してきた。その筆頭が予選で104mの大ジャンプを見せ、本戦でも1本目に99mを飛んで3位につけた15歳のエマ・クリネク(スロベニア)だ。