ソチ金候補 高梨沙羅にライバルはいるか?
彼女は今年8月のサマーGPクーシュベル大会で優勝したほか、9月にはリレハンメルコンチネンタル杯で連勝して売り出し中の選手。「今シーズンの目標は世界ジュニア優勝だが、もし五輪に出られればすごいこと」と話す彼女は、大ジャンプをする可能性も秘めている。 さらに今回97・5mと97mとジャンプを揃えて3位になったジャニナ・エルンスト(ドイツ)も15歳で、クリネクと同じく昨シーズンはW杯にも出場していなかった選手だ。またドイツ勢はエルンスト以外の選手も4位と6位に入り、チームとしての技術向上も果たしている。 ■最大のライバル サラ・ヘンドリクソン そんな選手たちに加え、高梨にとって最大のライバルといえば、昨シーズンの世界選手権で苦杯を嘗めさせられたサラ・ヘンドリクソン(アメリカ)の存在を忘れてはいけない。彼女は今年の夏に練習中に膝を痛めて手術していて、その治り具合はまだ不明だが、本人や関係者は「五輪には間に合う」と話しているだけに、その動向は注目される。もし復帰してくれば、高梨に負けない飛距離を出す上に、ヒルサイズを超えてもキッチリとテレマークを入れた着地をしてくる完璧なジャンプは最大の脅威になる。 だが高梨も、そんなヘンドリクソンの復帰を漫然と見ているだけではない。昨シーズンの世界選手権や、その後のW杯では飛距離で上回りながらも飛型点の差で敗れたことを反省し、この夏からはテレマークを入れる着地を大きな課題にしている。そして今回はヒルサイズを2m超える102mのジャンプでもその課題をしっかり克服し、飛型点では19・0点や19・5点を出して全選手中最高の57・5点を獲得。本人も「最後までチャンと攻めてしっかり足を前後に出すことを意識しているが、その状況での自分の体を支える力がついたというか、テレマークを入れるコツがかなり身についてきたと思う」と自信を深めている。 どんなに勝とうとも、その状況に満足することなく次なる課題を見つけてさらに進化しようとしている高梨。彼女の貪欲な気持が、新しく台頭してきた勢力や技術を上げてきているベテランをどうのように退けていくか。 高梨圧勝でシーズンが始まったとはいえ、ここからソチへ向けての戦いは目を離せなくなりそうだ。 (文責・折山淑美/スポーツライター)