県内ひとり親家庭、8割超「生活苦しい」 就労環境改善も物価高響く
県内の「ひとり親家庭」の8割超が「経済的に生活が苦しい」との認識でいることが県の調査で分かった。物価高騰などが要因とみられ、2019年度の前回調査よりも割合は増えた。最低賃金の引き上げなどで収入は増加傾向にあるものの、母子家庭では依然として半数近くが年収200万円未満だった。支援策では児童扶養手当の増額、医療費助成の所得制限緩和、学習支援充実などを求める回答が目立った。 調査は05年度からおおむね5年に1度実施している。今回は7月に母子家庭2508世帯、父子家庭492世帯の計3千世帯に調査票を送付し、母子家庭870世帯、父子家庭150世帯から回答があった。回答率は34%だった。県は結果を検証し、策定中の県こども計画(仮称)に反映させ、中長期的に孤独・孤立防止や就労支援といった対策を講じるとしている。 現在の暮らしの状況に関して「大変苦しい」「苦しい」「やや苦しい」と回答したのは母子家庭の81.5%で、前回比1.5ポイント増だった。父子家庭は84%(同5.3ポイント増)だった。
親の年間就労収入が200万円未満だったのは母子家庭47.2%(同8ポイント減)、父子家庭21.5%(同7.8ポイント減)で、常用雇用者の割合も増加傾向にある。県は、ひとり親を取り巻く就労環境に一定程度の改善が見られる一方、それを上回る物価上昇がネックになっていると分析する。 生活困窮世帯の食生活を支え、地域交流の場としての役割も期待される子ども食堂について、「参加させたい」とした親は母子家庭の31%、父子家庭では22.1%にとどまった。 県は現在、児童扶養手当受給世帯に対する県産米提供、就職に有利な資格取得を目指す親への費用助成などに取り組む。子ども家庭福祉課はこうした支援制度の周知に加え、子ども食堂への参加拡大がひとり親世帯の孤独・孤立防止につながると強調する。積極的な参加を呼びかけるとともに、運営側への支援拡充にも取り組むとしている。