「あの日」徒歩で向かった故郷・神戸 おむすびで市職員役の新納慎也さんが語る心の傷
震災経験者ではあるが「被災者」ではない。家族も無事だった。それでも心に負っていた傷に、気づくときが来る。23年3月11日の東日本大震災で深い悲しみを背負う。「生まれ育った街が崩れているのを目の当たりにした傷が、自分にもあった」
■立ち上がった神戸を光に
9月30日から放送されているNHKの連続テレビ小説(朝ドラ)「おむすび」。ヒロインが幼少期に一家が生活していた神戸を阪神大震災が襲い、避難所に身を寄せ合う人々を描いた。
新納さんは被災者への対応や復興に奔走する神戸市職員役で身を置いた。8月、神戸市内での撮影で取材に応じた際、心中を「古傷がひりひりするよう」と明かした。
今年の正月、地震に襲われた能登半島は9月、豪雨災害にも見舞われた。災害が絶えない日本には絶えず苦しむ被災地があり、悲しみを抱えた人々がいる。阪神大震災の記憶を呼び起こすドラマを「小さくとも、希望の光になれば」と願う震災経験者はこう語った。
「神戸はこうやって立ち上がったんだと感じてもらいたい。ずっと今のままということはない」(藤井沙織)