<2年越しの春へ・県岐阜商>/下 二枚看板の投手陣 互い意識、切磋琢磨 それぞれの持ち味に高い評価 /岐阜
左の野崎慎裕(のりひろ)、右の松野匠馬の2投手が県岐阜商投手陣の柱だ。県内ライバル校の首脳陣からは「野崎のやや横から振り下ろす投球フォームが球の出所を見えにくくしており、左打者が打ちにくい」、「松野は力強くて速い直球と変化球をあわせもっている」など、それぞれの持ち味を評価する声があがる。 2人は1年時から公式戦でベンチ入りしてきた。昨夏に甲子園であったセンバツ代替試合「2020年高校野球交流試合」の対明豊(大分)戦では、いずれもマウンドに上がった。ブルペンで隣同士で投げることも多く、常に互いの球速を意識して切磋琢磨(せっさたくま)してきた。 「松野の球速が140キロ出ていたら自分も出そうと思うし、紅白戦で松野が2点取られていたら、自分は1点に抑えようと思う」と野崎投手は話す。投げる前に力をためる松野投手の投球フォームを参考にしたことも。日々の投げ込みを重ね、球速は最速144キロになった。「3年夏までに150キロを出す」が1年時からの目標だ。 松野投手は、入学時の球速が野崎投手より3キロ遅い129キロだった。「悔しかった」。毎晩1キロのコメを食べ、体重を入学時より10キロ増の80キロに増やした。ベンチプレスで筋力を増強し、1年秋に球速140キロに達した。昨秋の東海地区大会以降は、階段を片足で駆け上がって瞬発力を高めるなどの練習を重ねた。球速は野崎投手を超える148キロに達した。 両投手には課題もあり、今も克服しようと奮闘している。 東海地区大会でエースの役割を託された野崎投手は、投じたスライダーやカットボールを相手打者に合わされ「打たれそう」と感じる場面があった。球種を増やして打者に的をしぼらせないように、変化球の質の向上を図る。カーブが得意な松野投手からは「捕手のミットに球を乗せるイメージで投げて」との助言をもらった。 東海地区大会決勝で先発した松野投手は、回を追うごとに球速が落ち、3番手として再登板した際、相手の代打に本塁打を許した。「気の緩みがあった。克服して(野崎投手だけでなく)自分もチームを引っ張っていきたい」。その後、投げ込みに加えて、走り込みを自身に課した。チームは週3回、学校と岐阜市内の金華山(標高329メートル)を1時間かけて往復する朝練習をしている。松野投手は、投球時に踏みこむ脚力を鍛えるため、自主的に毎朝、山に登り続ける。 センバツでは野崎投手が背番号「1」を、松野投手が「10」を付けて臨む。初戦の市和歌山は、最速152キロの小園健太投手と、4番で捕手の松川虎生主将のバッテリーが要のチーム。野崎投手は「内角を攻めて相手4番を打ち取る強気の投球をしたい」。松野投手は「松川主将より前に打者を出さないよう、抑えていきたい」【熊谷佐和子】 ……………………………………………………………………………………………………… 野崎慎裕投手 松野匠馬投手 甲子園高校野球交流試合 先発・1回2/3を4被安打3失点0奪三振 2番手・3回1/3を2被安打無失点1奪三振 秋季県大会準決勝 先発・5回 を8被安打3失点3奪三振 2番手・4回 を5被安打1失点4奪三振 決勝 先発・9回 を5被安打2失点9奪三振 登板せず 秋季東海地区大会2回戦 先発・8回 を7被安打無失点4奪三振 登板せず 準決勝 先発・9回 を8被安打無失点8奪三振 登板せず 決勝 4番手2回1/3を7被安打4失点1奪三振 先発と3番手の計5回を3被安打1失点2奪三振