米国のZ世代、定期的に貯蓄しているのは15%のみ。米国若年層の金銭事情に迫る
Z世代の約半数が家族から経済的支援を受けている
こうした困難な状況に対し、Z世代はどう対処しているのか。アンケートでは、半数以上の54%が両親などから経済的支援を受けていると回答した。54%の内訳は、両親や家族から(46%)、政府から(9%)、友人から(3%)だった。学生ではないZ世代に絞っても、37%が経済的支援を受けている。 経済的援助を受けている約3分の1(32%)は、月額1,000ドル(約14万円)を受け取っており、44%は500ドル(約7万円)未満となる。 援助を受けた若年層は、そのお金を「食料品やトイレタリー製品」「家賃や光熱費」「電話費用」「健康保険やその他の支払い」にあてている。
定期的に貯蓄しているのは15%のみ
Z世代の半数近くが経済的援助を受けている状況を踏まえれば当然かもしれないが、回答者の約3分の1(30%)は「貯蓄したいが、それだけの収入がない」と回答している。 大多数(82%)は経済的な目標を持っており、住宅や車の購入、一人暮らし、結婚や子どもを持つなどのライフプランについて、今後5年以内に「予定はないが達成したい」と答えている。 貯蓄の重要性は理解しつつも満足な貯蓄ができているZ世代は少なく、給与の一部を定期的に口座に貯蓄しているのは5人に1人未満(15%)にとどまった。Z世代の半数以上(57%)が、3カ月分の生活費をまかなえるほどの貯蓄を持っていないことも浮き彫りになった。 また、「過去1年間に株式投資をした」と答えたのは15%で、これは2022年からほとんど変わっていない。一方で投資には関心があり、5人に2人(40%)は「今後5年以内に投資を始める予定はないが、そうしたい」と答えた。
多くの若年層は外食やイベントを断念
Z世代は生活費を支払った収入の残りを外食(36%が該当)、ショッピング(30%が該当)、娯楽(24%が該当)などの体験型の支出にあてており、これは他の世代よりも高い割合だという。エネルギーがあり、自由な時間が取りやすいZ世代にとって、友人・恋人との付き合いや趣味の活動は重要度が高いのだろう。 一方で、経済的な課題への対処として、67%がライフスタイルを変化させて節約に努めているという結果も。43%は外食を減らし、27%は友人とのイベントを断念、24%はより手頃な食料品店で買い物をするようになり、21%は予算を決めるようになった。 3分の1以上(38%)は社交的な活動を断念することに抵抗がなく、「参加する余裕がないから」だと周囲に明言しているそうだ。 男女の比較では、男性よりも女性のほうが経済的な障壁が高いことも示されている。例えば、「良い収入を得ていると感じるか」という質問に対し、「はい」と答えた女性は22%で、男性は30%だった。 また、過去1年間で女性の3分の2以上(68%)がライフスタイルの変化や自己変革(外見の変化、経済的優先順位の見直し、キャリア/専攻の変更など)を行ったのに対し、男性は51%だった。イベントへの参加を見送る割合も女性のほうが高かった。 米国で資産管理サービスを提供するSun Group Wealth Partnersの共同創業者・Winnie Sun氏は「毎月の収入のうち、50%を生活必需品に、30%を裁量支出に、20%を貯蓄に回すのが一般的な割合だが、20代なら少なくとも10年間は25%を貯蓄に回すことを勧める」と話している。しかし、現代の米国のZ世代にとってはハードルが高い印象だ。
文:小林香織 /編集協力:岡徳之(Livit)