自分の資産を社会貢献のために寄付したいです。今は生活があるので寄付できませんが、自分が亡くなった後に遺産を寄付する方法はありますか?
相談者は78歳の栗原さん(仮名)。夫とは、若いときに離婚し、苦労して子どもを育ててきました。終活を考えるなか、死亡した後、財産の一部はひとり親を支援する団体に寄付したいと考えるようになりました。 いろいろ調べると、「遺贈寄付」という方法があることを知り、FPに相談することにしたそうです。本記事では、「遺贈寄付」とは何か、メリットや注意点は何か、FPがアドバイスした内容を紹介します。
遺贈寄付とは
死亡した後、子どもなど家族に相続するのではなく、遺言で自らの財産を公益法人やNPO法人、学校など公益性の高い団体に寄付するのが「遺贈寄付」です。自分の財産を生活や幸せのために使い、残った財産を社会や次世代につなげる「生きた証し」「最後の社会貢献」といえるかもしれません。 一般社団法人日本承継寄付協会(東京都文京区)の「遺贈寄付に関する実態調査2023」(調査期間: 2023年10月31日~ 11月6日、調査対象:20~70代男女1000人)によると、20~70代における遺贈寄付の全体認知度は53.3%、50~70代に限定した場合には、65.3%の認知度に上り、年齢が高いほど遺贈寄付の認知度が高まっています。 しかし、遺贈寄付をするにあたり不安はないと回答した人は全体の18.6%にとどまっています。 遺贈寄付を考えるにあたり不安な点や準備していない理由としては、「寄付したお金がどのように使われるか不明瞭」が42.4%で最多となり、次点で「遺贈寄付のやり方がわからない」と回答した方は26.8%、「誰に、どこに相談したら良いかわからない」が25.6%という結果になっています。 遺贈寄付の希望財産については、「現金」(77.4%)が最多で、次に「自宅(不動産)」(26.9%)、続いて、「有価証券」(23.1%)、「自宅以外の不動産」(10.2%)となっています。 「自宅(不動産)」を選んだ人は、保有財産が2000万~5000万円未満の人が19.0%、5000万~1億円未満の人が27.1%、1億円以上の人は31.3%となり、保有財産が多くなるほど、「自宅(不動産)」を遺贈寄付したいと考える人が多い傾向がうかがえました。