凱旋門賞に向けて順調な調整が進むシンエンペラー

［ＧⅠ凱旋門賞＝２０２４年１０月６日（日曜）３歳上、パリロンシャン競馬場・芝２４００メートル］ 　日本馬初の凱旋門賞制覇へ向けて、世界中の注目を集めているシンエンペラー（牡３・矢作）。同馬を担当する吉田一成調教助手に、渡仏からのここまでの調整過程、愛馬の状態、大一番に向けた手応えなどを徹底取材した。 　――最終追い切りはラファミリアを目標にする形。見た感想は 　吉田助手　ちょうどいいスピード、ちょうどいい強さだったと思います。 　――先週強めにやっているので今日は軽め？ 　吉田　中２週だし、先週もしっかり乗っているので、オーバーワークだけ避けたいという感じ。もう仕上がっているからね。 　――馬場について 　吉田　道悪は特に気にしていないです。当日は人間の都合（パドックなどで濡れるから）で降ってほしくないだけ（笑い）。 　――むしろ降ってほしいというような話も 　吉田　パンパンの馬場より、ちょっと湿って他の馬が気にした方がこちらに有利じゃないかなと感じています。他の陣営が良馬場を希望しているという話もあるし。こっちは全然重馬場でも大丈夫やから。なら、重馬場の方が有利なのかなって。 　――状態面について 　吉田　前走より上がっているのは間違いないです。 　――前走時に矢作師は７、８割の状態と言っていたが、今回は？ 　吉田助手　なかなか１０というのは…。どこが１０なのかは正直、分からない。１０とは言わないけど９くらいはあるんじゃないかな。少なくとも前走以上なのは間違いない。 　――これまでシンエンペラーが一番状態が良かったのは？ 　吉田　ダービー。 　――そのダービーと比べて 　吉田　正直、ダービーまでは行かないかな…とは感じているけど、その分、ダービーの時より成長している可能性もある。それを相殺すると同じかもしれないし、それは分からない。 　――成長を感じるところは 　吉田　精神面はだいぶ大人になった。普段余計なことをする頻度が少なくなった。前走もこちらが思っている以上に走ったから、そういう面ではパワーアップしているのかもしれない。 ――前走から中２週。フランス＝アイルランド間を飛行機で往復という、日本ではない輸送を間に挟んでいる。そこからの立ち上げ、良化具合は？ 　吉田　アイリッシュチャンピオンＳが全力を出し切っていない状態で終わったから、逆にダメージが少なかった。なので、レース後の疲れはそこまでなかった。 　――Ｃ・デムーロが「前回乗った時よりもフランスの馬場に則したいい筋肉がついた」と言っていた。吉田さんが乗ってどうか？ 　吉田　じゃあ、そうなんでしょう（笑い） 　――シャンティイでの調整。栗東トレセンと変わった部分は？ 　吉田　いわゆる日本でいう逍遥馬道みたいな森の中を歩いて行くけど、そこの負荷のかかり方が栗東とは全然違う。もちろん普段のダートでの調教の負荷も（トレセンより）かかる。そういう意味でも、栗東で調整するより自然と体力がつくのかなと感じます。 　――逍遥馬道（ダートが深い＆急坂）は毎日？ 　吉田　毎日。少しでも体力がつけば、という意味で。行けば分かります。歩いてきてください（笑い）。 　――前走の１週前にロンシャンでギャロップを行った。パリロンシャンの芝との違いは 　吉田　エーグルの芝の方が全然重い。ロンシャンで調教した当日は雨は降ってなかったけど、ソフトと言っていましたね。パリロンシャンの方が馬は楽だと思います。清水先生（滞在先の清水裕夫調教師）が「あれ以上重くなることはない」と言うくらい、先週のエーグルの馬場は重かったみたい。それをぶっちぎったからね。というか他がバタバタになった（笑い）。 　――２日は競馬専門紙パリチュルフの１面に載った（吉田助手騎乗のシンエンペラーの写真） 　吉田　すっかり有名人になったかもしれない（笑い）。