実質消費支出、11月まで4カ月連続減 消費回復「足踏み」
Tetsushi Kajimoto [東京 10日 ロイター] - 総務省が10日発表した昨年11月の家計調査によると、2人以上の世帯の実質消費支出は前年比0.4%減と4か月連続減少となった。11月前半まで気温が高止まりし、秋物衣料品やエアコンの売れ行きが鈍ったほか、物価高騰で家計の節約志向が強まる中、食料品の支出も減少した。 総務省幹部は家計調査について「(消費支出の)マイナス幅は縮小しているが、個人消費は足踏みの状況」が続いているとしている。 項目別には、暖房エアコンや家庭用耐久財など家具・家事用品が前年同月比13.8%減少したほか、洋服・和服などの被服・履物類が同13.7%減となった。食料品も0.6%のマイナス。菓子類が売れず、牛肉・豚肉の需要もより低価格の鶏肉などにシフトした。 ロイターの事前予測調査では11月の実質消費支出は同0.6%減が予想されていた。 季節調整済み実質消費支出は前月比0.4%増と2カ月連続の増加だった。ロイターの事前調査では0.9%の減少が予測されていた。 同調査は、国内総生産(GDP)の過半を占める個人消費との相関性が高い。GDPの個人消費は昨年1─3月期まで4四半期連続減となっていたが、春闘賃上げや夏のボーナス支給、所得税減税などの政策効果にも支えらえ、7─9月期までに、2四半期連続の増加へ反転していた。 一方、高止まりする物価の影響から、インフレーションを加味した実質賃金は11月まで4カ月連続の減少を記録、日銀の目指す賃金・物価の好循環実現の難しさを改めて示している。 アナリストは足元の消費・賃金データは「ニュートラル」とし日本銀行(日銀)の追加利上げは「オントラック」との見ている。 UBS証券チーフエコノミストの足立正道氏は「メインシナリオは1月のコンディショナルな利上げだ」と述べ、消費と賃金の先行きにポジティブな見解を示した。その上で同氏は1月20日のトランプ大統領就任が金融市場に混乱を招くリスクに警戒感を示した。「大統領令で関税をかけるとか、予想外のものが出てきて、マーケットが大幅に調整する。例えば株価が5%、10%下がるとなれば(日銀)利上げはやれないだろう」とした。 *総務省の発表資料は以下のURLでご覧になれます。 http://www.stat.go.jp/data/kakei/index.htm [http://www.stat.go.jp/data/kakei/index.htm]