トルコがEUに加盟できない根本理由としての「キプロス問題」
トルコ国旗(右)と「北キプロス・トルコ共和国」国旗(C)volkan/stock.adobe.com
トルコはなぜEU(欧州連合)に加盟できないのか。この問いは、EUがなぜトルコを(入れたくても)入れられないのかと表裏一体だ。先に述べるが、その理由は宗教の相違ではない。 EU加盟要件である「コペンハーゲン基準」については、トルコの現政権下でも今後の方針転換によって、あるいは政権交代の場合には、EU側の理解も深まれば達成が期待できる。一方で、政権が交代しても変更を期待できそうにない外交政策こそが、加盟への究極の障害となっている。それがキプロス問題だ。 「我々は歴史的な真実を訴えかけるためここに来ている」。今年7月20日、島の北部ではちょうど50年目を迎えた1974年のトルコ軍キプロス派兵の記念式典が開催され、来席した レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領 は力を込めてこう述べた。政権に猛攻をかける最大野党・共和人民党のオズギュル・オゼル党首も、式典では肩を並べた。世俗主義とイスラム教、クルド問題など、何かと分断の多いトルコにあってキプロス問題は、50年来国民の紐帯となってきた超党派の団結事項だ。
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野中恵子