「駆け込み」で高成長のGDP 前回増税時との比較で見えた景気維持の3つのカギ
増税後の景気維持のカギは
さてグラフを眺めてわかるように、増税後にどの程度景気が維持されるかのカギとなるのが、投資と外需(輸出入)です。プラス成長が持続するには、投資がこのままプラスで推移し、かつ、貿易赤字が縮小するような状況が必要です。 タイミングとしては、悪くありません。東日本大震災後の投資増から時間が経って、そろそろ投資が回復する可能性があり、加えて大胆な金融緩和により投資コストが下がっています。外需は、海外の景気や経済政策に依存するので何とも言えませんが、昨年のような大幅な円安がなければ、変化率という点ではある程度維持されます。 何が起こるか分かりませんので、予測そのものはできませんが、1997年のように金融危機やアジア通貨危機が生じない限り、半年程度で反動減は縮小してくるはずです。ただ、日本が、エネルギーや少子高齢化、社会保障費の増大、グローバル化に伴う産業の変化、政府債務の増大など、構造的な問題を抱えたままであるということを忘れてはいけません。 (文責/釣 雅雄・岡山大学経済学部准教授)