縦型ショートドラマ「北斗探偵事務所」で好演の吉野おいなり君に注目
縦型ショートドラマ。先週リリースが出たところだが「北斗探偵事務所」なるものを制作した。架空の探偵事務所を舞台に所長の北斗と新人探偵の簾が、探偵あるあるや世代間ギャップなどを面白おかしく展開する1本3分程度の会話劇(7話まで各SNSで公開中)。お手持ちのスマホなんかでサクっと見られますのでご興味ある方はぜひ。 主演2人は「映画 政見放送」でご一緒した瀬戸利樹くんと北代高士くん。そして企画から入り脚本も担当したのが俳優の高崎翔太くん。気の知れたメンバーで何か面白いことを、と始めた企画。自主映画を作っていた時代を思い出しつつ、楽しく撮影させていただいた。 制作する上でのポイントをいくつか。縦なので横と違って画的な工夫はあまりできず、引いた画とツーショットやカットバック、正面ヨリと横ぐらいなのかなと。代わりに2カメなどはやりやすく、今回は3分の芝居を一連で2カメで2回戦といった感じで行った。しかも1日に10本近く…俳優さんは本当に大変そうだったが、そのリアルな感じも作品に現れていて、いい意味で臨場感たっぷりの作品に仕上がっている。 そこで今回紹介したいのは最新話(6話)に依頼人として登場している吉野おいなり君。お笑いコンビめぞんとして活動しつつ、さらには芸人仲間とのシェアハウスでの様子をSNSに公開する人気グループ、板橋ハウスのメンバーでもある。高崎くんが以前共演したことがあり、今回声をかけてみようとなった。 演じてもらったのは妻の浮気を心配する商社マン。キャリアのある俳優さんに囲まれての撮影となったが、役を堂々と演じてくれて、また売れっ子らしくみなぎる自信も感じた。アウェー感漂う中、これほどしっかりと自分を出せれば、今後俳優としてグッと出てくるのではないかと思う。 改めて縦型ショートドラマ。制作目線でいうと手間も時間もお金もかかる映画やドラマに比べると簡単に撮れる上(俳優の皆さんは変わらず大変ですが…)、いろいろと発見でき勉強になった。またキャストを試すと言うとあれだが、今回の吉野さんのように自由度高くオファーできるのもまた魅力的である。映画館でじっくり見てもらうのももちろんいいが、スキマ時間にちょっとしたエンタメを提供できるツールとして今後さらに伸びていくのではないかと思う。「北斗探偵事務所」、何とぞよろしくお願いいたします。 ◆谷健二(たに・けんじ)1976年(昭51)、京都府出身。大学でデザインを専攻後、映画の世界を夢見て上京。多数の自主映画に携わる。その後、広告代理店に勤め、約9年間自動車会社のウェブマーケティングを担当。14年に映画「リュウセイ」の監督を機にフリーとなる。映画以外にもCMやドラマ、舞台演出に映画本の出版など多岐にわたって活動中。また、カレー好きが高じて南青山でカレー&バーも経営している。最近では映画「その恋、自販機で買えますか?」「映画 政見放送」、10月18日には映画「追想ジャーニー リエナクト」が公開。