「義実家との人間関係が大変だから」だけではない…帰省で妻が不機嫌になる"夫が知らない本当の理由"
■妻のいない場所で悪口大会を開く夫と義父母 【CASE3】妻の味方をしてくれない夫 「義実家への帰省がストレスなのは当たり前。問題は、夫がそんな私の気持ちを汲み取ったり、フォローしたりしないこと」とM実さん(41歳)は憤る。 M実さんは結婚以来、毎年、年末年始には4歳年下の夫の実家に帰省している。家事が苦手なM実さんは、「お雑煮の準備、お願いね」「リビングの掃除をしておいて」「洗濯物を取り込んできて」などと義母に指示されるたびに「家政婦じゃないのに」とカチンときていた。加えて、その間、義父とコタツでくつろぎながらテレビを観ているだけの夫にも不満を抱いていた。 M実さんの頭に離婚という考えがよぎったのは、お風呂上りに親子3人でしていた会話が廊下にいるM実さんに聞こえてきたときのことだった。 「『何年たっても気が利かないね、あの子は』『どうせお前は普段もロクな食事をさせてもらっていないんでしょう。たくさん食べていきなさいよ』という私の悪口で盛り上がっていた。もともと好かれていないのはわかっていたけれどそれなりにショックだったので、寝る前に夫に抗議したところ『おふくろたちの言うことも一理あると思うよ。反省するいい機会なんじゃないの?』と、まさかの追撃をくらう形に。その後、大喧嘩に発展した」 結局、M実さん夫婦はしばらく冷戦状態が続き、最終的には夫婦でカウンセリングに通う事態にもなった。 ■帰省前に夫が心がけたい「3つのこと」 義実家への帰省でストレスを感じる妻の多くは、義両親の言動そのものだけでなく、夫のフォローにも不満を感じている。たとえ義両親からダメージを受けるようなシーンがあっても、それはあくまで帰省中の出来事として気持ちを収めることはできる。ところが、そのときの夫の態度に不満を感じると、その後の結婚生活にも延々と尾を引く問題に発展していくからだ。 夫婦関係に亀裂を生じさせないためには、夫は帰省前に次の3つのことを心がけたい。ひとつは、「味方でいることを伝える」こと。実家では両親より、妻を優先させることが肝心。「いつでも自分は妻の味方だから」ということを事前に伝えておくことは、パートナーシップの強化につながる。その後、妻のいない別の機会をつくって実家に帰省し、両親を安心させてあげることも忘れずに。 ふたつめは、「帰省中の役割分担をきめておく」こと。「料理は手伝ってもらうけれど、皿洗いは自分が引き受ける」「面倒なことを頼まれたら、まず自分に相談してほしい」というように、夫婦間で事前に実家と自分たちの期待値を調整しておくと摩擦は少なくなる。 そして、「無理をしない」ことも大切だ。可能なら帰省の頻度や滞在時間を減らし、夫婦関係に影響の出ない範囲でコントロールし、妻のストレスを減らすようにしたい。 いずれにしても、帰省中にお互いが精神的な疲労や居心地の悪さを感じることがないよう、事前の話し合いをしておくこと。これは夫婦が協力して義実家問題を乗り越えていくために必要なことでもある。 ---------- 岡野 あつこ(おかの・あつこ) 夫婦問題研究家・パートナーシップアドバイザー・公認心理士 夫婦問題研究家、パートナーシップアドバイザー、NPO日本家族問題相談連盟理事長。立命館大学産業社会学部卒業、立教大学大学院 21世紀社会デザイン研究科修了。自らの離婚経験を生かし、離婚相談所を設立。離婚カウンセリングという前人未踏の分野を確立する。これまでに32年間、38000件以上の相談を受け、2200人以上の離婚カウンセラーを創出『離婚カウンセラーになる方法』(ごきげんビジネス出版)。近著は夫婦の修復のヒントとなる『夫婦がベストパートナーに変わる77の魔法』(サンマーク出版)。著書多数。 ----------
夫婦問題研究家・パートナーシップアドバイザー・公認心理士 岡野 あつこ