プラスチック汚染条約交渉、生産規制巡り溝埋まらず…合意を見送り全日程終了
【釜山=田中洋一郎】プラスチック汚染をなくすための条約策定を目指す政府間交渉委員会は2日未明、交渉を中断し、合意を見送ると決めた。韓国・釜山で開かれた最終会合で会期末の1日を迎えても、プラの生産規制を巡って各国間の溝が埋まらず、閉幕せずに会合の全日程を終了した。再開時期は未定。 【写真】大気中で見つかったマイクロプラスチック
1日夜の総会で、議長のルイス・バヤス駐英エクアドル大使が「交渉は大きく進展したが、合意にはほど遠い」として交渉中断を提案し、全会一致で認められた。後日再開される会合では、議長作成の条文の草案をたたき台として議論を継続することも決めた。
プラスチックは適切な処理をされずに廃棄されると、海洋汚染など国境を越えた深刻な被害を招く。条約は汚染防止を目的とし、各国が2022年から策定に向けた議論を始め、今回の最終会合で条文の内容を固める予定だった。
11月25日に始まった最終会合では、欧州やアフリカの諸国が、プラスチックごみの削減にはプラ製品などの国際的な削減目標を設定するなど、生産段階でも規制を設けるよう求めた。一方、産油国のロシアやサウジアラビアなどは、生産規制にかかわる条文を設けることに強硬に反対し、双方が歩み寄ることはなかった。
産油国側としては、気候変動対策として化石燃料の削減が求められる中で、石油由来のプラの生産量にまで規制を受けると、経済的に大きな打撃を受けかねないとの懸念があるとみられる。