食事からしか摂れない「必須アミノ酸」の役割
"女性が摂るべきサプリメント" で検索すると、ビタミンやミネラルが上位に出てくることは間違いない。微量栄養素は確かに重要だけれど、これらと同じくらい心身の健康に欠かせない栄養カテゴリーがある。それが「必須アミノ酸」。 体が正常に機能するには、タンパク質の構成成分である20種類のアミノ酸が必要で、そのうち11種類のアミノ酸は体内で合成できるが(非必須アミノ酸)、残りの9種類は「必須アミノ酸」として知られるヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファン、バリンで、食品やサプリメントから摂取する必要がある。9つの必須アミノ酸をすべて十分に含んでいる食品は「完全タンパク質」とみなされ、その主な供給源とは卵や牛肉、鶏肉などの動物性食品である。 すべての人が必要とする必須アミノ酸だが、女性にとってはとくに、世界保健機関 (WHO) が定める1日の必要量を満たすだけでなく、より丈夫な筋肉を作り、運動後のリカバリーを早め、生活の質を向上させるのにも役立つと言われている。でも、食事だけで1日の必要量を満たすことは案外難しい。なぜなら、お肉や卵をたくさん食べる必要があるから。そこで出番となるのが必須アミノ酸のサプリメント。 ここからは、必須アミノ酸のサプリメントを食事に補うといい具体的な理由を説明していこう!
筋肉作りと維持をサポート
もっとも幅広く研究されている「女性が必須アミノ酸を摂る利点」とは、筋肉の増強と回復に関するものだという。一定の筋肉量を維持することは、日常的な活動やスポーツを行うために重要であり、筋肉の発達と維持を支える体作りにおいても必須となる。なぜなら、筋肉は安静時であろうと24時間ずっとエネルギーを燃焼するから。 女性にとって筋肉を維持する重要性は、年を重ねるほどに増していく。更年期から陥りやすくなるサルコペニアとは、加齢に伴い筋肉量と筋力の低下を引き起こす現象であり、これが生活の質を落とし、怪我のリスクを高める要因になる。でも、筋力トレーニングを習慣化させ、毎日十分にタンパク質を摂取していれば、サルコペニアを回避し、筋肉量を増加させることができるとか。必須アミノ酸を摂取することは、サルコペニアの予防に効果的であることを示す研究結果もあり、別の研究は、筋肉を構築するプロセスである「筋タンパク質合成」を促すために必須アミノ酸の摂取量を増やすことを推奨している。手術後回復中の被験者を対象に行われた研究でも、必須アミノ酸が筋肉の損失を防ぐために有効であることがわかっている。 「熱心に運動に取り組んでいなくても、必須アミノ酸を摂ることは日常生活において非常に役立ちます」と話すのは、フロリダ州オーランドを拠点とする管理栄養士でありスポーツ栄養士のショシャナ・プリツカー。筋肉を維持することは健康のために不可欠であり、必須アミノ酸でその減少を防ぐことは、あなたの体がより長くよりよく動けるようにサポートしてくれる。 とくにロイシン、イソロイシン、バリンの3つの必須アミノ酸は、枝分かれした分子構造を持つことから分岐鎖アミノ酸(BCAA)として知られており、筋肉痛の軽減やリカバリーの向上を含め、筋肉を増強する効果が高く評されている。だが、前述した研究によって、BCAAだけでは筋力、筋タンパク質合成、筋肥大を増加させることはできないことが明らかになり、一部の研究では、筋タンパク質合成の速度を低下させることが示されている。「BCAAは筋肉の形成と修復をサポートしますが、他の必須アミノ酸なしではそれらを達成することができません」とプリツカー。「これらの理由により、必須アミノ酸を摂ることが、(BCAAだけよりも)よりよい選択肢だとされています」 とはいえ、研究によれば、ルシンが多く含まれる必須アミノ酸(Kion Aminosなど)のサプリメントは筋肉に最善の効果をもたらしてくれる。「ロイシンは筋タンパク質合成の律速因子(全体の速度に影響を与える要素)です」 とプリツカー。「つまり、ロイシンが十分になければ筋肉を構築するのが難しくなるのです」