ホーバークラフト「陸とは違う景色」笑顔の男の子、スマホ向ける見物客…安全祈願し別府湾周遊第1便出発
大分県・別府湾を周遊するホーバークラフトの不定期航路が就航した30日、大分市の発着場には乗客だけでなく、見物客も詰めかけた。評価は上々で、運航会社「大分第一ホーバードライブ」(大分市)の小田典史社長(52)やスタッフは手応えを感じていた。 【動画】ホーバークラフト周遊運航開始、初日の4便はほぼ満席
「安全最優先で気をつけてほしい」。運航開始前の同日午前8時半頃、小田社長は操縦士や整備士らに呼びかけた。第1便出発前には、船体にシャンパンをかけて安全を祈願した。
ターミナルの敷地内では、動き出すホーバーに見物客がスマートフォンを向けていた。着水した瞬間に舞った大量の水しぶきをかぶる人もいた。
同湾でホーバーが運航されるのは15年ぶり。かつて出張や学生時代の帰省でホーバーを利用していたという大分市の団体役員(48)は「息子を第1便に乗せてあげたい」と家族で乗り込んだ。「以前より揺れも振動も少ない。由布岳や高崎山も見えて県外の観光客向けにもいい」と語り、長男(10)も「電車が小さくて、陸とは違う景色だった」と笑顔を見せた。
第1便と第2便を担当した男性操縦士(50)は「お客さんから『楽しかった』『揺れなかった』という声や拍手をもらえてうれしかった」と振り返った。
小田社長によると、ホーバー運航には親会社の第一交通産業(北九州市)の創業者で大分県中津市出身の黒土始氏(2023年に死去)の「地域に貢献したい」という思い入れがあったという。小田社長は「亡くなる直前までホーバーが見たいと言っていた。墓前に『出だしは上々ですよ』と報告したい」と語った。