貴重な遺跡出土品展示へ 信大が赤レンガ倉庫で長年保管 長野県松本市
信州大学医学部(長野県松本市)が、戦後に県内外で実施した古人骨などの発掘調査で出土した考古資料の調査・再整理が進み、信大中央図書館(松本市旭3)で13日から展示会が開かれる。学術的に貴重な品も含む県内8カ所の遺物を10月16日まで紹介している。 医学部では昭和20年代以降、当時第2解剖学教室の教授だった鈴木誠さんらが人類学研究を目的に発掘調査を実施。出土品の多くは、松本キャンパス内で「赤レンガ倉庫」として知られる国の登録有形文化財「旧松本歩兵第50連隊糧秣(りょうまつ)庫」に保管されていた。 戦前に旧制松本高等学校に寄せられ、信大に引き継がれた考古資料と合わせ県埋蔵文化財センター(長野市)が調査を受託し、令和4年度から資料の確認や整理を行ってきた。点数は骨などの自然遺物を除き約3万点にも及ぶという。 今展では、書籍に図として掲載されながら実物の所在が不明だった、塩尻市内で出土した旧石器時代の尖頭器や松本市内の遺跡で発掘された縄文中後期の土偶などが並ぶ。同センターは「戦後の考古学を引っ張った鈴木先生ら先駆者の功績を再認識した。後世に残すため、報告書などの記録を作っていきたい」としている。信大大学史資料センターは「学生、職員が学術的価値のある考古資料の存在を知り、活用についても考える機会となれば」としている。 17日午後2時半から、図書館で、松本深志高校出身の早稲田大学名誉教授・高橋龍三郎さんが「信州大学の調査研究と日本の考古学」と題して講演する。入場無料で申し込み不要。図書館ホームページからオンライン配信も閲覧できる。問い合わせは図書館(電話0263・37・2172)へ。
市民タイムス