「真の生産性」を実現するリーダー術。労働習慣×脳のリズムの原則3つ
この時期は職場のリーダーたちが次の四半期に向けてプレッシャーを感じがちな時期です。 つまり「自らが率いるチームの効率を最適化しなければ」というプレッシャーを感じているのです。 休憩時間の短縮、ミーティングの生産性向上、職場でやり取りされるメールのトラフィック分析などのよくある手法は、理にかなっているように見えます。 けれどもこれらの手法は、実は脳の機能する仕組みを考慮されていません。 実際、こうした戦術は、認知機能の自然なリズムに逆らってチームメンバーを働かせることになるため、メリットよりもデメリットのほうが多い可能性さえあります。 もっと効果的な解決法を私に伝授してくれたのは、ケンブリッジ大学で学んだ神経科学者のMithu Storoni氏です。 『Hyperefficient: Optimize Your Brain to Transform the Way You Work(超効率性:脳を最適化して、働き方を一変させよう)』という本の著者でもあるStoroni氏によれば、テクノロジーが主導する現代社会で「真の生産性」を実現させるには、労働習慣を脳の自然なリズムに合わせることが必要だと、自身の研究で裏付けられたと語ります。 Storoni氏がすすめるのは、疲れた心とからだにムチを打って無理やり仕事を進めるのではなく、認知能力がピークに達する時間帯を中心にして、仕事の段取りを組み立てる方法です。 このやり方なら、リーダーは自らのチームに対して、より質の高いアウトプット、創造性の開花、より持続可能な仕事のペースにつながる扉を開くことができるはずです。 では、Storoni氏の新著から、チームの効率と生産性をさらに向上させる、3つのパワフルな戦略を以下に紹介しましょう。
1. 仕事を「脳のリズム」とシンクロさせる
集中して創造力を発揮する脳の機能は、1日を通じて一定レベルで推移するわけではありません。 Storoni氏によると、生産性を最適化するには、こうした能力の自然なピークに従って、タスクの割り振りを計画する必要があるそうです。 Storoni氏は、学術誌「Yale Journal of Biology and Medicine(YJBM)」に掲載された研究を引用しながら「午前中の早い時間帯を、創造的思考の時間として確保するべきだ」と指摘します。 この時間帯であれば、頭脳がフレッシュで、斬新なアイデアを発想できるはずです。 コンセプトの立案や戦略開発に関するタスクを仕事としている場合は、早めに仕事をスタートさせましょう。 まずは創造的な洞察を必要とするタスクに取り組み、午後に入ったら休憩時間を設けて英気を養うのがオススメです。 集中する脳の能力は、午前10時ごろの時間帯に特に高まり、午後の早い時間帯まで、高い状態が続きます。 この時間帯は、戦略の立案やデータ分析など、深い集中力が必要なタスクをこなすのに最適です。 Storoni氏は、この時間帯には集中力を妨げる要素を最小化するようすすめています。 ミーティングやメールの処理といったタスクをこの時間帯に組み込むのは、避けたほうが良いとのことです。 リーダーの立場にある人は、チームメンバーに対して、スケジュールを柔軟に組む自由を与えて、集中力と創造力を最適な状態に持っていくことを検討しましょう。 Storoni氏は、こう提案しています。 タスクの種類に応じて、脳の状態とマッチするように仕事のスケジュールを組めば、アウトプットとエンゲージメントを大幅に向上させることができます