アンダーアーマーCEOが語るEC強化施策、EC化率4割の秘訣と今後の施策
米国のスポーツ用品メーカーUnder Armour(アンダーアーマー)は、ECプラットフォームの活用を強化しています。グローバル売上高に占めるEC売上高の割合は10%台、ECがDtoCビジネスの約40%を占める規模までに拡大しているからです。ステファニー・リナーツ社長兼最高経営責任者(CEO)インタビューを紹介します。
ECが売り上げの4割を占めるアンダーアーマー
アンダーアーマーのECは現在、全社売上高のうち「10%台半ば」を占め、DtoCビジネスの売り上げに占める割合は約40%に達しているそうです。リナーツCEOはこう語ります。
┌────────── 世界で最も機能的なECサイトを作ったとしても、そのECサイトに掲載されている商品が見栄えよく、人気があり、売れ行きが良くなければ、さらにマーチャンダイジングがうまくいかなければ、意味がありません。(リナーツCEO) └────────── シカゴにあるアンダーアーマーのミシガン・アベニュー店で行われた、米国のEC専門誌大手『Digital Commerce 360』とのインタビューで、リナーツCEOは27年の歴史を持つスポーツウエア企業であるアンダーアーマーの事業、ブランドはどのような方向をめざすかを説明しました。 アンダーアーマーへ2023年2月に入社したリナーツCEOは初の女性CEOに就任。前職では「リッツ・カールトン」などさまざまなホテルの運営やフランチャイズを手がけるマリオット・インターナショナルの社長を務めました。そんなリナーツCEOはアンダーアーマーのECサイトとアプリの今後の展開について、明確なビジョンを持っていると説明。EC機能と商品販売方法を改善するために、リナーツCEOは「やるべきことがたくさんある」と考えています。 ■ AIなどテクノロジーを積極的に活用 アンダーアーマーは実店舗やECサイト、アプリを起点とした売り上げを消費者への直接販売と定義。また、スポーツ用品専門店のDicks Sporting Goods、Amazon、靴を中心とした大手アパレルチェーンFoot Lockerなどを通じて卸売りも手がけています。 検索性の向上と顧客のパーソナライズのために、アンダーアーマーはすでにECサイトで「AIを使用しています」とリナーツCEOは言及。サプライチェーンでも、商品の品質を保つためにAIを活用しているそうです。多くの小売事業者が生成AIの導入を模索している段階に対し、リナーツCEOは自社の投資が有意義かつ影響力のあるものにしたいと考えています。 ┌────────── AIだけではなく、新たなテクノロジーを導入する際は高い目的意識を持つ必要があります。アンダーアーマーは引き続き、事業に専念するつもりです。AIを含め、テクノロジーがどのような場面で当社の業績を成長させるのに役立つかを真剣に考える必要があります。(リナーツCEO) └────────── ■ パフォーマンス向上に成果 ホリデー商戦の数字はまだ公表していませんが、事前に顧客からのECサイトへの注目が集まっていたことは、ユーザーによるECサイトの読み込み時間から垣間見えます。 ECベンダーのBlueTriangleは、アンダーアーマーがサイバー5(サンクスギビングからブラックフライデー、その後の土日、さらに月曜日のサイバーマンデーを合わせた5日間)の期間中、パフォーマンスが絶好調だった他の事業者と比較しても、堅調だったことを明らかにしました。 Blue Triangleは、ECサイトのパフォーマンスランキングを、WebページのUX指標「Core Web Vitals(コアウェブバイタル)」の1つで表示速度を測る指標「LCP」などの指標に基づいて決定しています。 Blue Triangle のデータによると、アンダーアーマーのサイバーマンデーにおけるLCPは最も優れた小売企業トップ1000社の第11位にランクイン。Blue Triangleによると、アンダーアーマーのLCPは0.452で、LCPが最も早かった小売事業者はアパレルブランドのThread Pitで0.200でした。 Googleの「Core Web Vital」Teamによると、LCPが2.5秒より早ければ「良好」とされており、LCPが2.5秒から4.0秒の間なら「改善が必要」で、4.0秒を超えると「悪い」と見なされます。