猫カフェに「成人向けビデオの音」を流す「迷惑電話」→「法的措置を検討」 どんな罪に問われる?
●繰り返せば、「威力業務妨害」や「ストーカー規制法」違反も
――迷惑防止条例以外にも、迷惑電話が何度もかかってきた場合、刑事的責任を問うことは可能でしょうか。 威力業務妨害罪にも当たると考えます。威力業務妨害罪は威力を用いて人の業務を妨害した場合に成立する犯罪です(刑法234条)。
保護法益は人の業務活動であり、「3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金」の法定刑が定められています。
威力とは、人の意思を制圧するに足りる勢力を用いることですが、要は人が業務の続行に躊躇を覚えるような行為です。
お店に頻繁に電話して成人向けビデオの音声を流し続けた場合、お店の営業に支障を生じさせかねませんので威力業務妨害罪に当たる可能性があるのではと考えます。
なお、業務妨害罪には偽計業務妨害罪(刑法233条)というのもあり、過去には似たようなケースで、偽計業務妨害罪で逮捕された事例もあります。いずれにしても業務妨害罪にあたる可能性があるでしょう。 また、「止めてください」と言っているにもかかわらず、特定の女性スタッフに対してイタズラ電話を何度も掛けた場合、ストーカー規制法違反にも当たります。
ストーカー規制法はストーカー行為を処罰するための法律です。 ストーカー規制法2条1項5号は、特定の者に対する一定の感情を満足させる目的で「電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ、文書を送付し、ファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールの送信等をすること」を「つきまとい等」とし、「つきまとい等」を反復すれば「ストーカー行為」に当たります(2条4項)。ストーカー行為をした者は、「1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金」です。
【取材協力弁護士】 冨本 和男(とみもと かずお)弁護士 債務整理・離婚等の一般民事事件の他刑事事件(示談交渉、保釈請求、公判弁護)も多く扱っている。 事務所名 : 法律事務所あすか