日本政府が「犯罪王国カンボジア」に6000億円超の援助…「そのほとんどがフンセン一族の収入になっている」ヤバすぎる実態
若き大悪漢「陳志」
代表の「陳志」は若干36歳。福建省で小さなネットカフェをやっていた彼は23歳の時に国を捨てカンボジアに移住した。そしてあっという間にシアヌークビルのカジノバブルで資産を築き、カンボジアに帰化。さらにマイクロファイナンスを手始めに商業銀行免許を取得、一気に事業規模を拡大した。僅か10年ほどで金融、不動産、映画、観光業、ホテルチェーンなどあらゆる分野を網羅する一大コングロマリット企業に急成長した。フン・セン前政権やフン・マネ新政権でも大臣クラスの地位に就き正式な政府の要職として外交使節団にも同行、ラオスには政府代表として援助をした。 海外に分散した資産も半端ではない。彼らはロンドンに1億1400万ドル程のオフィスビルを持ち、31か国で確認できるだけで少なくとも15億ドル以上の有価証券を保有し、さらになぜかキューバの国営葉巻会社の25%、28億ドル相当を所有しているとアメリカ政府系メディアRFA(ラジオフリーアジア)が指摘している。 そしてRFAはプリンスグループの収益の多くは国際オンライン詐欺、暗号通貨詐欺などの詐欺犯罪で得た収益で、さらに「リー・ヨン・パット」同様に人身売買や強制労働、暴行監禁などを行っている、と告発している。ほかにも麻薬売買や未解決殺人など多くの疑惑もある。事実、今年6月には監禁されていたホテルから逃げ出した中国人がその実情を中国のネットサイトで告発し話題になった。「ポーライホテル」の別棟に監禁されパスポートを取り上げられ、脅迫や電気ショックなどの暴行を受けて働かされたという。朝8時から深夜1まで休日もなく働かされる。週に1本の飲み物と腐った果物と粗末な食事。まさに奴隷のような生活で、5階が日本エリア、7階がインドエリアと詐欺対象地域ごとに担当が分けられ、「裏ではプリンスグループが関与している」と告発している。 また、昨年、このようなオンライン詐欺グループに騙されて働かせられ、命からがら脱出した実話を基にした映画「孤注一擲(No More bets)」が中国で公開され大ヒットした。その影響で中国からの観光客が激減したという。もちろんカンボジアでは上映禁止だ。 さらにRFAの調査ではマン島にあるAというゲーム会社を通じて巨額のマネーロンダリングも行っている、と報告している。中国政府も国際オンライン詐欺による大量の資金の海外流出を国家安全保障上の脅威と判断しており、北京公安局も特別チームを作ってプリンスグループの調査を開始した、という。まさにこれはメキシコのマフィア・カルテルと政府の癒着を超えるギャング映画のような世界と言えるだろう。