ウクライナが東部のポクロウシク方面に増援部隊を投入 現状は「焼け石に水」か
ウクライナ東部ドネツク州アウジーウカの西40kmほどに位置し、ウクライナ軍の重要な兵站拠点であるポクロウシクの周辺の防御をテコ入れするために、ウクライナ国家親衛隊の数少ない攻撃旅団である第15作戦任務旅団(通称「カラダフ旅団」)が投入された。 2000人規模のカラダフ旅団はこれまでウクライナ南部に配置されていた。東部の不慣れな戦場への配置転換は、ポクロウシク正面でウクライナ側が直面している問題の緊急性を浮き彫りにするものだ。 弾薬不足に陥っていたウクライナ軍のアウジーウカ守備隊を今年2月半ば、5カ月あまりにわたる激しい包囲戦の末に駆逐したロシア軍は、2022年2月の戦争拡大前におよそ6万人が暮らしていたポクロウシクに向けて着実に前進してきた。 ウクライナの調査分析グループ、フロンテリジェンス・インサイトはリポートで、ポクロウシクは「輸送や鉄道配送の重要なハブになっており、広い範囲にわたる戦線でウクライナ軍の供給を支えている」と説明し、「ドネツク州におけるウクライナ軍の兵站の根幹が脅威にさらされている」と警告している。 8月にロシア軍の前進が加速すると、ウクライナ軍参謀本部はようやく対応に動いた。ポクロウシク正面に増援部隊を送り、すでにこの正面に配置されていた計6個ほどの機械化旅団や空中強襲旅団、国家親衛隊の旅団に加勢させた。 増援部隊のひとつがカラダフ旅団だった。2014年に創設され、何度か再編され、2022年には戦闘で大きな損害を被り、その後T-64戦車などの重兵器で増強されたカラダフ旅団は、内務省所属の国家親衛隊の代表的な攻撃旅団だ。この旅団も平時は警備活動にあたる準軍事組織だが、戦時の必要性から現在は陸軍の旅団のように戦うことを余儀なくされている。 国家親衛隊のウェブサイトでは、志願者は配属される地域を選べると説明されている。ロシアがウクライナで拡大して2年半たつ戦争の比較的安定した時期であれば、それも可能だったかもしれない。国家親衛隊の旅団は、もともとはひとつの地域で戦う傾向にあったからだ。