「長崎スタジアムシティ」開業、スポーツが街にもたらす潤い…古宮洋二・JR九州社長と森保一・サッカー日本代表監督語る
欧州ではコミュニティーの場
――街の活性化にスポーツを活用することも考えられる。 古宮 長崎だけでなく、九州各県にJリーグのクラブがあるため、例えば鉄道で各地を巡ることができる周遊きっぷを新たにつくるといったことも考えられるだろう。 森保 日本代表には海外のクラブに所属する選手が多いため現地のスタジアムにも足を運ぶが、欧州などではスポーツが日常生活の一部になっていて、スタジアムはコミュニティーの場と捉えられている。地域住民が「自分の街のチーム」を応援する文化が根付いているし、ビジネスの世界でも、サッカーを楽しみながら仕事の話をするということも珍しくない。 応援するクラブが勝ったときは喜び、負けたときは悔しがるという思いを皆で共感し、共鳴する。日本でも、スタジアムが街のコミュニケーションの場になっていくことを期待している。
――地域を活性化させるには人の力が重要になる。それぞれ組織のトップとして、人材育成で留意している点はあるか。 古宮 分かりやすい言葉で会社の目標を表すことにしている。やはり言葉で明確に方針を示すことが最も大切だ。目標に向かってそれぞれ何をするか、どう動くかを考える形にしないと、全体がバラバラになる。 森保 組織は「個」の集合体で成り立っている。個人を尊重し、強みを生かしながら組織として機能し、エネルギーを発揮するために何ができるかを考えている。 古宮 同感で、会社としての人材戦略のキーワードは「個の力の最大化」を掲げている。個人が力をつけないと、全体の方向だけが合っていてもなかなか(目的には)たどり着かない。個人の力を発揮させるにはどうすれば良いかを経営者が考え、プロジェクトに対して適材適所でふさわしい社員を配置することが最も大事だ。