「長崎スタジアムシティ」開業、スポーツが街にもたらす潤い…古宮洋二・JR九州社長と森保一・サッカー日本代表監督語る
――森保監督がかつて指揮を執ったJ1・サンフレッチェ広島の本拠地である広島市にも専用スタジアムが完成し、6月に日本代表監督として訪れた。 森保 サポーターの声がピッチにいる我々までしっかりと届いてエキサイティングな空間になり、競技としてのサッカーの魅力が一段と上がった。広島や長崎のような「街なか」のスタジアムは、地域のシンボルや宝になる。同じような動きが全国各地に広がり、スタジアムやスポーツがまちづくりに貢献できれば本当にうれしく思う。 古宮 スポーツは明日への活力になる。長崎スタジアムシティには、JR長崎駅から徒歩で行ける点も魅力だ。長崎で事業を展開する我々としては、スタジアムに行く前の盛り上がりや、試合後の余韻を楽しめる「動線」をつくりあげていきたい。 森保 スタジアムがスポーツをするだけというのは過去の考えで、365日、どのように街に潤いをもたらし、活性化につながるかという活用法を考えることが求められる。街の拠点として買い物を楽しんだり、ビジネスで会議をしたりするだけでなく、時には防災の拠点にもなったりする。様々な使い方で街の宝になってほしい。
――まちづくりは、JR九州の得意分野でもある。 古宮 我が社は、「住みたい・働きたい・訪れたい」をまちづくりのコンセプトに掲げている。長崎は全国でも人口減少が進んでいるが、駅ビルをつくれば雇用が生まれ、定住人口も増える。新幹線があれば観光客が増えるだけでなく、遠方からの通勤・通学も可能になる。コロナ禍が明けたことで人々が各地に動き、集まる状況が戻ってきている。定住人口と交流人口の両方を増やすことが、まちづくりでは大切だと考えている。 長崎以外でも、西九州新幹線・嬉野温泉駅の近くに昨年10月、JR九州グループが運営する旅館「嬉野 八十八(やどや)」を設けたほか、在来線の佐賀駅では、高架下商業エリアをリニューアルした。列車を利用するためだけに駅を訪れるのではなく、楽しめる空間にすることで全体の潤いにつながる。「点」ではなく「面」で広く捉えることが重要で、エリア全体のことを考えたまちづくりをしていきたい。