【ウインターカップ2024】5年ぶり福岡県1位となった精華女子、大上晴司コーチ「精華女子の本当のバスケを楽しみにしてほしい」
選手たちのケガでチーム状況が安定しない時期を乗り越え、5年ぶりに福岡県1位となりウインターカップ出場を決めた精華女子。『組織力』を武器に掲げる大上晴司コーチは「ユニフォームが着られない選手たちがチームのため献身的に頑張ってくれた」と一人ひとりの成長がチームを作ったと話す。体育館に掲げられた『精華旋風を巻き起こす』の文字通り、戦力の揃った精華女子は試合ごとに風の勢いを大きくしながら旋風を巻き起こす。
「良いコンディションで大会に臨みたいです」
──去年のウインターカップが終わってから今まで、精華女子にとってどんな1年でしたか。 留学生を入れてウィークポイントだった高さを補い、去年の北海道インターハイである程度の経験を積んで、福岡インターハイで日本一を取ることを目標にしていましたが、選手のケガが相次いだことで、描いてた状態と変わってしまいました。去年はエースの清藤優衣が膝のケガで長期離脱がありましたし、県の決勝でアキンデーレ・タイウォ・イダヤットが前十字靭帯を切ってしまい、タイウォが抜けた状態でウインターカップを迎え、初戦で千葉経済大学附属に負けました。 チームとして良いコンディションで大会に臨めない状況が続きましたが、清藤も帰って来て、福岡インターハイの日本一を目指して九州ブロック大会まで良い感じで来ていました。しかし、九州ブロック大会の決勝戦で核になるポイントガードの中釜光来が脱臼して救急車で運ばれて、インターハイには肘が伸び切らないまま臨んだので、パスは出せないしシュートも打てない。となると、どうしてもウチのトランジションは機能しません。そんな状態で1回戦から全然ウチらしくないバスケで、昭和学院に負けました。 ここに来てやっと選手が揃って、コンディションも非常に良い状態です。ウインターカップは3年生にとって日本一を狙える最後のチャレンジなので、本当に良いコンディションで大会に臨みたいです。 ──ケガというチームのハプニングを、どうやって乗り越えましたか。 タイウォが非常に良い活躍をしてくれて、そこをある程度見越した新チームのイメージでした。ただ彼女のケガで、またスモールラインナップに戻したから出てきたプラスもたくさんあります。特に、新人戦からスタートに抜擢した宮崎陽向の成長がこのチームに勢いをつけたし、下川蒼乃も留学生相手に身体を張ってよく守ってくれたし、日本人だけでもできるんだという証明ができました。タイウォがいないからなおさら勝たなきゃいけないと感じたと思いますし、トランジションも早くなり、ディフェンスもオールコートでハードに守れるようになりました。「もうそこしかないんだ」と平面のバスケに割り切れたのが大きかったですね。 ──紆余曲折を経て成長したからこそ、県予選で最後に東海大附属福岡に打ち勝つ強さが出てきたんですね。 県予選は日本人の5人をベースに大会に臨みました。勝ち抜くには高さが必要なので、復帰明けで40分試合に出続けるスタミナが戻っていないタイウォをどこで使って、どう選手を回していくのかが非常に難しかったです。決勝戦はタイウォのファウルが立て込んで、スモールラインナップに戻したことがきっかけで、スピーディーなバスケでウチらしい試合運びができました。それでも最終的にとどめを打ってくれたのはやっぱりタイウォのゴール下でした。ウィンターカップに向けて『高さ』は絶対必要なので、この1カ月でチームを仕上げて、「こういう時はこのメンバーでこのバスケだよね」と選手たちが共通理解を持ってゲームが運べるようになればと思います。