【ウインターカップ2024】5年ぶり福岡県1位となった精華女子、大上晴司コーチ「精華女子の本当のバスケを楽しみにしてほしい」
『組織作り』が「チームの団結力に繋がっている」
──今年は3年生が20人いますが、大所帯でもチームがブレずにやっている印象があります。 20人いる3年生の半分以上がユニフォームが着られない中で、チームのためにそれぞれの持ち場で献身的に頑張っています。福岡の決勝戦の前には、チームの特徴をスカウティングして、メンバーに入ってない子たちでチームを組んで、東海大福岡の選手になりきって練習相手になってくれました。決勝戦は応援席から身を乗り出して、全員が一体となって戦えた試合でした。それは『組織は人なり』という、ウチにしか出せない部員の多さをパワーとする一つの強みになっていると思います。 ──大上コーチが『組織作り』をする上で、意識されてるところはどこですか。 『個人力と組織力』を武器に掲げていますが、「どんな組織にしたいからどんな人を育てていくか」と「どんな人に成長してほしいからどんな組織にしていくか」を常に大切にしています。外から見たら「元気が良くてまとまっているチーム」に見えるかもしれないですが、いつも上手くいっているわけではありません。まだまだコーチ陣が未熟だったり、選手と噛み合わない時期を乗り越えながらやってきました。ただ、問題を乗り越えて一つ前に進むことが、いつも「チームが変わるきっかけに」なります。 順風満帆に見えるかもしれませんが、実は中でいろいろなことがあります。ユニフォームを着れない悔しさだったり、AチームとBチームの中のちょっとした気持ちのすれ違いとか、お互いがいろいろな壁にぶつかりながら、一人ひとりが成長しています。コーチ陣もそれに触れることで、何かに気付かされたり、勉強させてもらいながら、一緒に目指すところに向かって行く。今回はそれが特にチームの団結力に繋がっていると思いますね。 ──今年、清藤選手は実力が評価されてU17日本代表に呼ばれました。メンタルの部分も含めて成長を感じるところはありますか。 清藤はたくさんの刺激をもらうチャンスがあったおかげで、一つひとつの技術だったりに対する追求心が育ちました。海外経験の後で、本人と私に「ハンドリングはもっと改善の余地あり」という評価シートが来たのですが、それ以来、毎日iPadを見ながらハンドリングを1人黙々とやっています。一番力のある子が一番基本的な練習に打ち込む姿をチームメートに見せることでチームを引っ張ってくれました。 彼女なりにこのチームを引っ張ることに重圧を感じていて、インターハイに負けた時も「もっともっと自分がやるべきだった」という思いが行動に出てきました。私からすると、もっと出せる力はあるのにまだまだ遠慮しています。この1カ月でその壁を乗り越えてくれると、さらにすごい潜在能力を発揮できると期待しています。 ──同じく中釜選手もキーマンになってくると思います。 去年は控えでしたが、「中釜がいるといないとでは、こんなにチームが変わるのか」という、たくましい存在に成長しました。今はゲームをコントロールすることを本当に理解していて、自分が行くべきところと、チームメートを使うべきところの戦術的な理解だったり、ゲームの運び方に関しても成長を実感しています。