松本若菜が保ち続けるまっすぐな芯 『西園寺さんは家事をしない』は満を持しての主演作に
いまの松本若菜だからこそ演じられる西園寺さん
松本は、デビュー当初から強くまっすぐな芯を感じさせる。しかしそれが近寄りがたさを生む面もあったのかもしれない。それが年齢とキャリアを重ね、『やんごとなき一族』での好演もあって、いまや特に同性からの強い支持が集まるようになった。 そこに来ての『西園寺さんは家事をしない』主演である。 『西園寺さんは家事をしない』は、ひうらさとる原作漫画を実写化する連続ドラマ。ひうらさとるといえば、綾瀬はるかが単独での連続ドラマ初主演を務めた『ホタルノヒカリ』(日本テレビ系)の原作者だ。干物女こと雨宮蛍役の綾瀬、そして高野誠一役の藤木直人のキャスティングもぴったりで人気を集めた。 今回の『西園寺さんは家事をしない』もまた、前評判は上々。松本演じる主人公の西園寺一妃、西園寺さんと偽家族となる楠見俊直役の松村北斗(SixTONES)、まだ謎に包まれているカズト横井なる料理系YouTuber役の津田健次郎と、メインの3人ともに、たしかに原作とまったく違和感がない。ひうらさとるも出演者の「見た目がそっくり」と太鼓判を押している。(※2) とにかく家事をしない西園寺さん。家事が“嫌い”なのではなく、家事を“しない”というところにも理由がある。アプリ制作会社でバリバリ働き、周囲からの信頼も厚い38歳独身の西園寺さん。愛犬と暮らすために一軒家を購入し、公私ともに充実した日々を送る西園寺さんだったが、アメリカ帰りの天才エンジニア楠見が転職してきたことで、暮らしが一変する。 仕事ができて、周囲からの信頼も厚い。でもかわいらしさや弱さもあって、人生の選択に悩んで揺れる。「家族ってなに? 幸せってなに?」を見つめる本作。年齢でくくるのは褒められたことではないが、キャリアと年齢を重ね、演技の幅を広げながら、同時にまっすぐな芯を保ち続ける、いまの松本だからこそ演じられる西園寺さんになると期待している。 参照 ※1. https://realsound.jp/movie/2024/04/post-1646732.html ※2. https://realsound.jp/movie/2024/07/post-1711937.html
望月ふみ