みずほ証がサステナ部門を急拡大、ゴールドマン出身者を「伝道者」に
(ブルームバーグ): みずほフィナンシャルグループ傘下のみずほ証券が、脱炭素などを促すサステナブルファイナンス部門の陣容を拡大している。ゴールドマン・サックス証券で政策保有株の解消を啓発してきた人物や元エンジニアなど多様な人材を採用。環境や社会の持続可能性に関連し顧客企業が抱える幅広い課題に対応する狙いだ。
同社は約3年前に「サステナビリティ推進部」を15人体制で設立。外部採用も積極的に進め、過去1年で人員を24人から48人に倍増させた。直近では先月、ゴールドマンで株式営業本部業務推進部長を務めながら政策保有株の売却ビジネスに取り組んだ清水大吾氏が入社した。元自動車関連企業のエンジニアや元戦略コンサルタントなど、金融以外の知見を持つ異業種出身者も積極的に採用している。
環境・社会課題への対応は、企業経営で近年重要性を増すばかりだ。これに伴い、サステナビリティー関連の取り組みを支援するビジネスが金融機関で拡大している。一方で金融庁が昨年公表した調査結果では金融機関の約5割がサステナブルファイナンスの専門人材が不足していると回答しており、人材確保が急務となっている。
みずほ証券もサステナブル金融に注力する1社で、同社によると国内でのSDGs債の引き受け額では2022年度まで4年連続でトップを取得した。昨年10月にはサステナビリティ推進部内に、2チームを新設。資金調達だけでなく、持続可能性を踏まえた事業の構造転換を支援する体制を整えた。
サステナビリティ推進部の山口敦之副部長は、企業がサステナビリティーを重視する流れについて「不可逆的であり、投資家からのプレッシャーも受け、今後も急速に進む」と強調する。
清水氏は啓発活動を継続
同部に先月加わった清水氏はゴールドマンに16年間所属。業務推進部長に就任中、政策保有株の問題について企業や投資家への啓発活動に取り組み、昨年6月に同社を退社した後、そうした取り組みを書籍にまとめる形で広く発信した。