獣害対策に「オオカミロボ」…スキー場で自動運転技術を用いた運用実験 福井県、東京大と仁愛大が開発協力
自動運転技術を用いた鳥獣害対策ロボットの運用実験が福井県南越前町の今庄365スキー場で始まった。県内でこれまで実験が行われてきたオオカミ型ロボットの遠隔操作タイプの改良版で、人工衛星との通信によって位置や方向を把握し自動走行する。野生動物を、より広範囲で追い払う効果が高まると期待される。 ロボットは「スーパーモンスターウルフ」。北海道のメーカー「ウルフ・カムイ」が製作し、赤外線センサーで動物を感知すると首を動かして目を赤く光らせ、50種類の音声をランダムに流して威嚇する。昨年10月には越前町の水仙畑で遠隔操作タイプの実証実験が行われた。 開発には、仁愛大で鳥獣害対策を研究する安彦智史准教授の研究室と、自動運転技術を研究する東京大大学院の海津裕准教授の研究室が協力した。 ロボットは国内外の人工衛星により位置と方向を把握し、あらかじめ決めておいたルートを自動走行する。ロボットを乗せる四輪のモビリティーはガソリンエンジン駆動の草刈り機を改造したもので、バッテリーで動いていた従来型より長く稼働できるようになった。 ロボットは当面、ゲレンデ内の1カ所に置き、周囲に設置した定点カメラで動物の出没状況やロボットへの反応を調べる。10月後半からは、出没が多い夜間にゲレンデ中腹にある1周約480メートルの通路を周回させ、効果を検証する。 実験が始まった9月25日はリモコン操作で試験的に走らせるなどし、安彦准教授や海津准教授らが見守った。 今庄365スキー場は獣害が深刻化しており、昨年からは特にシカが多く出没。ゲレンデでは大量のふんが見つかり、草が食い散らかされるなど年間を通じて被害が出ている。安彦准教授は「自動運転によって、人間に慣れてしまった野生動物を広範囲にわたって追い払えると期待できる。低コストでの運用などを検討していきたい」と話している。
福井新聞社