燃料デブリ初取り出し…「現世代の責任として、できるだけのことをやる」取り出し工法チームのトップに聞く“廃炉への道筋”
取り出した燃料デブリはどこへ?
将来、取り出した燃料デブリをどこに持って行くのか。東京電力のホームページにはこのように書かれています。 「取り出した燃料デブリは、遮蔽・放射性物質閉じ込めのため、金属製の密閉容器に収納したうえで、発電所内に整備する保管設備 に移送し、金属またはコンクリート製の密閉した部屋の中で保管 (乾式保管)をします。その後の扱いについては、調査や研究開発 等の成果をふまえつつ、処理に向けた検討結果を踏まえて決定し ていくものと考えており、国と連携して進めていくこととしています」 つまり“デブリの最終処分”をどこでどのように行うかは、まだ決まっていないのです。燃料デブリを取り出した後の管理の難しさも問われています。 ▽燃料デブリ取り出し工法評価小委員会 更田豊志委員長 「デブリは取り出すこと自体よりも、取り出してからの方がやっかいだと思えてしまう。取り出した途端に放射性廃棄物として厳重な管理が必要となる。廃炉作業全体からいうとデブリ取り出しが困難な作業であるのは事実だけども、困難が更なる混乱を呼ぶわけです。廃炉作業の後に生まれてくる廃棄物の問題の方が、遥かに困難だと思われる」 Q デブリを取り出さないという選択は? 「選択肢として完全に排除するわけではないが、まだまだ時期尚早だと思う。取り出さないという選択は次の世代、更に次の世代に対して、負担や判断、ツケを回すことになる。そういった判断を現世代がしていいかどうかは大変重要な問題で、安易に次の世代に負担を回すべきではない。現世代の責任として取り出すだけ取り出そうとするのは、正しいことだと思う。現世代の責任として、できるだけのことをやろうとするのが大事だ」
廃炉作業の厳しい現実
事故後、13年で初めて取り出される“耳かき1杯分”の燃料デブリ。原発事故の“処理”を次世代に先送りせず、私たちの世代でどこまで責任を果たせるのか。廃炉作業の厳しい現実が、この先何十年と待ち構えています。