燃料デブリ初取り出し…「現世代の責任として、できるだけのことをやる」取り出し工法チームのトップに聞く“廃炉への道筋”
最長40年の廃炉計画…見直すべきでは?
国や東電が示している廃炉完了までの目標期間は事故後30~40年です。すでに事故から13年が経過したので、あと17年~27年で廃炉を完了させるということになります。現実的と言えるのでしょうか…。 ▽燃料デブリ取り出し工法評価小委員会 更田豊志委員長 Q 廃炉まで30~40年の目標について? 「難しいのは間違いない。30~40年というのは明確な根拠あって決められたものではない。いろんなことがわからない状況の中で必ずしも工学的な技術的な根拠があって決めた期間ではないのは事実だ。様々な社会的政治的な理由があって決められた(廃炉目標の)期間だ。きちんと定められるような情報が出てきた時点で、(廃炉目標の)期間の議論を始めることになると思う。デブリの試験的取り出しもその一つのポイントだ。この1~2年でこれまでになかった情報がずいぶん得られるようなる。(廃炉目標の)期間も含めて、次の段階の議論をする時期に近づいてるんだろうと思う」 Q 廃炉までの期間が延びるということか? 「必ずしもそうではない。あくまでその30年40年の(廃炉までの)期間を維持するという結論もあり得るし、一定の延びる期間を設定することもあり得るし、(廃炉までのの)期間は設定できないという結論になる可能性だって否定はできない」
本格的な「デブリ取り出し」…取り切れるのか?
燃料デブリは核燃料だけが溶け落ちて固まったものではなく、原子炉の中の金属やコンクリートなどと混ざり固まっています。そのため非常に硬く、簡単に取り出すことができないと想定されています。これらの大量の燃料デブリを砕いて運び出す装置の開発や、取り出したものをどこに安全に保管するのかなど、課題は山積しています。 ▽燃料デブリ取り出し工法評価小委員会 更田豊志委員長 Q燃料デブリを全て取り切れるのか? 「今から45年前の1979年、アメリカ・スリーマイル島原発2号機でも事故があった。この時、燃料デブリは圧力容器という金属製の容器の中にとどまって外には出なかった。燃料デブリは99%ぐらい取り切れたが、(一部は)まだ残っている。 Q スリーマイル島原発では圧力容器の中の燃料デブリでさえも1%残っている。福島第一原発はさらに難しいのではないか? 「(福島第一原発は)スリーマイル島原発事故とは比較にならないぐらい困難だ。遥かに難しい。 福島の場合も、私達が目指してるのは100%ではなく、ほぼほぼ取り切るところまで持ち込みたい。95%ぐらいは少なくとも取りきりたい。ただこれも何をもって100%とするかだが、一口にお答えするのは難しいが9割以上は(取りきりたい)というところだ」